日本財団 図書館


3]地理的優位性を活用した上海等へのシャトル航路の開設

 

上海等にわが国で最も近いという長崎港の地理的優位性を活用し、上海等との間を往復するシャトル航路を開設し、所要日数の短縮、高い輸送頻度など上海等に特化した利便性の高い輸送サービスを提供することにより、長崎港周辺地域のみならず、九州全域や関東、関西などで生産・消費される貨物も対象として、広域的に貨物の集荷を図る。

類似例として、下関港では、韓国との近接性を活用し、さらに通関等の手続きの迅速化やトラック・鉄道と連携した複合一貫輸送により、山口県内のみならず、関東、関西等にまで広い背後圏を有している。下関港の韓国航路は、貨物専用のコンテナ船も運航されているが、日曜日も含めて毎日運行され、貨物・旅客とも利用できる関釜フェリーが中心的な役割を果たしている。また、下関〜釜山間は往復とも夜出港、早朝入港というスケジュールである。

長崎港においては、上海等へのシャトル航路展開の方向性として、次の3つが想定される。

 

1)コンテナ船航路

 

一般のコンテナ船により貨物のみを輸送する。長崎〜上海は約880kmであり、荷役時間等を考慮しても1船の投入で最大1便/4日の頻度で運航することが可能と考えられる。

 

2)フェリー航路

 

貨客両用のフェリー航路において、コンテナ貨物の輸送も担うものである。所要時間は1)のコンテナ船とほぼ同等であるが、国内長距離フェリーでは30ノットに迫るものも実用化されていることから、高速化による所要時間の短縮も想定される。ただし、従来より運航されていた長崎上海フェリーが現在休航となっていることから、その要因分析を十分に行った上で取り組む必要がある。

 

3)TSL等高速船の導入

 

テクノスーパーライナー(TSL)等の高速貨物船(もしくは貨客船)を導入することによって、大幅な所要時間の短縮を図るものである。

TSLは、所定の実験を終了し、その開発目標である速度50ノット、積載重量1,000トン、航続距離500海里(約930km)の実現には技術的には目処が立っている。ただし、経済性(適正な運賃の設定と事業採算性の確保)が課題となっており、運輸省、造船会社、船社の参加する検討組織を立ち上げ、従来のコンテナ船に加え、採算性の高いカーフェリーとしての実用化に向けた検討が進められることになっている(トラック100台積載、定員400人、速力36ノットを想定)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION