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<長崎港の問題点>

 

・長崎港を利用する場合の海上運賃の高さについて、多数指摘されている。北九州港利用と長崎港利用を比較した場合、現在国内輸送運賃が下落していることも加わり、コスト面での長崎港の優位性はわずかであり、利便性の違いなどを考慮すれば、長崎港利用のメリットを感じにくいとされる。

・港湾荷役料金(デバンニングチャージ、CYチャージ、ドレージ料)や通関手数料、取扱手数料など荷主に請求される港湾関係経費を合わせると、ほぼ海上運賃(上海〜長崎)に匹敵することから、荷主側としては非常に割高な印象を持っている。

 

<長崎港利用の条件>

 

・当該荷主企業の輸出入相手地域への輸送サービスが提供されていることが前提である。

・上記の前提に立ち、長崎港を利用することによって、現在の輸送ルートと比較してコストが安くなることが第一の条件である。

・寄港頻度が高いことも重視される(一般的にはウィークリーサービスが利用の条件)。

・長崎港周辺の企業においては、地元港湾の利用によるリードタイム短縮へのニーズもある。特に、市場への迅速な対応のために納期の条件が厳しいアパレル業界においては、リードタイムが短縮できれば中国から輸入するアパレル製品の検品作業を地元で行うことも可能になる、という意見があげられている。

・企業によっては薫蒸施設や混載サービスなどの付帯サービスも必要となる。

 

2]外航船社の意向

 

アジア域内の近隣地域への航路に着目し、韓国船社、中国船社、台湾船社へのヒアリングを行った。

 

<現航路の問題点>

 

・輸送需要の低迷と運賃下落:アジアおよびわが国の経済停滞に伴う輸送需要の低迷と船社間の競争激化による運賃相場の下落である。

・地方港対策:韓国船社による日韓航路、中国の地方中小船社による日中航路を中心として、多数の地方港に国際定期コンテナ航路が開設され、荷主も最寄り港湾志向が強まっている。このため、メインポートを中心に寄港する中国大手船社や台湾船社においては、自社ネットワークの地方港寄港拡大、釜山トランシップ、内航フィーダー航路の活用などの対応を行っている。韓国船社においては、国内輸送コストの相対的低下によるわが国メインポートの巻き返しにより、厳しい状況を迎えている。

 

<航路開設の条件>

 

・貨物量の確保:各船社とも貨物量が多いことが航路開設の第一条件としている。一例として次のような条件が示された。定期航路は基本的にウィークリよサービスとなっているため、航路開設のためには週あたりで上記に示した貨物量を確保できる見込みの立つことが航路開設の条件となる。

 

 

 

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