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3)特定航路特化型:下関港

 

地理的優位性や歴史的な結びつきを活用し、特定地域(下関の場合は韓国・釜山)との間で水準の高い輸送サービスを提供し、広域的(下関の場合は関西、関東まで)な背後圏を有している。

 

(2)荷主・船社の意向

 

1]荷主企業の意向

 

1)アンケート調査結果

 

九州域内の荷主企業(製造業、卸売業、小売業)へのアンケート調査結果により、以下のような結果が得られた。

・現状において釜山港でのトランシップを利用している企業は7〜8%、阪神、高雄、シンガポール各港のそれは2〜3%である。

・現状の利用港湾を変えてもよいと考える企業が6割に上るが、コストさえ削減できえればよいという企業は2割にとどまる。一方、条件次第では利用港湾を変えてもよいという企業は4割であるが、その条件としては、単に航路が開設されていることだけでなく、輸送頻度、所要日数、港湾までの交通アクセスが重視されている。

・長崎港利用意向は県内企業では6割に上り、地元港湾に対する利用意向は強い。一方福岡・佐賀両県に立地する企業は十数%にとどまり、熊本・宮崎・鹿児島各県の2〜3割よりもさらに低い。これは、航路網の充実した博多・北九州両港に近いことに起因していると考えられる。

・長崎港に開設が求められる航路として、中国(特に中部)、台湾、韓国のニーズが高く、次いで東南アジア、北米となっている。

・長崎港の利用条件としては、他の条件と比較してコスト削減への関心が強い。

・自由意見では九州全体での効率化の必要性を述べたものが多い。

 

2)ヒアリング調査結果

 

<港湾選択要因>

 

・北九州港、博多港は九州域内では最も航路網が充実しており、多方面・多頻度のサービスが利用できることから選択されている場合が多い。

・長崎港や伊万里港の選択要因は、最寄り港のために国内輸送費が安いことが主な選択要因である。ただし、韓国以外の国との輸出入においては、釜山でトランシップして伊万里港を利用するよりも、博多港の直行便を利用する方がコストが安くなるという場合もあり、最寄り港を利用してもトランシップが必要な場合には必ずしもトータルコストが割安になるわけではない。

 

 

 

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