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特に中国および東南アジア経済において、北米輸出シフトが進行しているため、その輸出貨物の獲得競争が激化している。これに関連して、北米に滞貨する空コンテナのポジショニングの問題もあって、日本→中国・東南アジアの輸送においては、各船社が値下げ競争に陥っている。日中航路ではこの1年で運賃がほぼ半額に下落したと言われている。なお、日韓航路はそれほど下落していない。

 

2]地方港対策

 

日本では現在50港(うち地方港が約40港)に国際定期コンテナ航路が開設され、荷主も最寄り港湾志向が強まっている。地方港の航路開設の中心は、韓国船社による日韓航路および中国の地方中小船社による日中航路である。

このため、メインポートを中心に比較的大型の船舶を投入している中国大手船社や台湾船社においては、こうした動きに対応するため、自社ネットワークの地方港寄港を拡大している。さらに中国船社M社においては、地方港対策として韓国船社との契約による釜山トランシップを4年前より実施しているが、円安の進行によるわが国内輸送コストの相対的な低下に伴い、日韓航路よりも内航フィーダー航路のコスト競争力が高まっていることから、横浜・東京、神戸・大阪トランシップを通じて内航フィーダー航路で地方港に輸送サービスを提供している。また、日本海側については韓中航路を日本海まで延航する計画も検討されている。

一方、韓国船社においては、元来地方港航路はトランシップ貨物の取り込みも想定して開設しているため、国内輸送コストの相対的低下によるわが国メインポートの巻き返しにより、厳しい状況を迎えている。一般論としては、国内メインポート経由の場合と比較して、韓国トランシップの場合は20ftで3万円、40ftで4〜5万円程度の価格差がないと優位に立てないとされており、価格差がこれを下回る現状にあって競争力が低下している。

 

(3)航路開設の条件

 

1]貨物量の確保

 

各船社とも貨物量が多いことが航路開設の第一条件としている。

例えば、150〜350TEU程度の船舶を投入する韓国航路では、1回の寄港で最低20〜30TEU、できれば40〜50TEUの貨物を確保できることが目安とされている。

また、400〜700TEU程度の船舶を投入する中国船社では、100TEU/回という目安が示された。もう1社の中国船社では、50〜70TEU/回が採算点とされている。

さらに、1,300TEU程度の船舶を中心とする台湾船社では、150TEU/回を目安としている。

 

 

 

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