定期航路は基本的にウィークリーサービスとなっているため、航路開設のためには週あたりで上記に示した貨物量を確保できる見込みの立つことが航路開設の条件となる。当然、地方港ではこの条件を満たしていないところが多いが、将来的にこれを上回る可能性が高い、という見通しの立つ場合に航路が開設されることとなる。
2]ベースカーゴの確保
貨物量の確保にあたって、確実に利用が期待できる大手荷主の輸出貨物のあることが求められる。輸入貨物の場合には、一定の人口集積があれば、航路開設後に中小荷主の利用が次第に促進され、貨物量が増加するという面があるのに対し、輸出については航路開設時点で、大手荷主による一定の利用が見込まれることが求められる。
3]港湾の条件
港湾のハード面の条件としては、ガントリークレーンがあり、40フイートコンテナの荷役が効率的にできること、自然条件がよい(強風や高波がない)ことなどが求められている。ただし、比較的小型の日韓航路などでは、必ずしもガントリークレーンでなく、ジブクレーンなどでも対応可能である。
また、港湾コストのうち、大きな部分を占める荷役料金の低減が求められている。現在、横浜港、神戸港などでは14,000〜15,000円/TEUであるのに対し、地方港では8,000〜10,000円/TEU程度で荷役できることが望ましいとされている。
また、コスト削減のため、パイロットやタグボートも利用しなくてよいことが望まれている。
4]他港・他社との競合関係
近隣に同方面の航路が開設されている場合には、新規に航路を開設すると両航路が需要を食い合い、共倒れとなる懸念がある。それが自社航路である場合には、寄港地を追加しなければ他社に貨物が流れるという状況にない限り、近隣港湾の寄港地追加は難しいとされる。他社が近隣港湾に航路を開設している場合には、参入して新規需要を獲得するという考え方もあるが、地方港への航路開設が相次ぎ、過当競争気味にある状況にあって、船社の見方としてもそうしたリスクは取らないという考え方が強まっている。
(4)今後の航路体系整備に向けた考え方
韓国船社K社からは、これまでは投入船舶の増加によって、航路・寄港地の拡大を進めてきたが、今後は既存の船腹量の中で、荷役のスピードアップや夜間荷役の実施などにより、コストを上げないでサービスを向上させることが必要となっているとの意見が示された。