5. 物流情報化に向けた課題
九州における物流情報化に向けて、関係業界団体や関係行政機関の積極的な支援を得つつ、物流事業者が主体的に情報化への取り組みを進めていくことが期待されるが、その際に次のような点が課題としてあげられる。
(1) 各関係主体の役割に応じた積極的な取り組み
九州の物流事業者・団体、関係行政機関、荷主においては、本調査において提言した物流情報化の基本方向の実現に向け、各主体の役割に応じた推進方策に積極的に取り組んでいくことが求められる。特に、九州における物流情報化の戦略である「物流共同化の促進」「中小トラック事業者の情報化水準の向上」「長距離トラック輸送の効率化」「国際物流の拠点化」については、特に重点を置いて取り組んでいくことが期待される。
(2) 物流情報化を担う人材の登用・育成
物流情報化の推進にあたっては、物流情報化を担う人材の登用・育成があらゆる方策実施の前提となる。物流事業者においては、物流のさまざまな実務と情報機器・システムの橋渡しとなる人材の登用・育成が重要である。また、各事業者の取り組みを牽引する立場にある業界団体や関係行政機関においても、物流情報化にかかる施策の企画立案や各事業者への指導・相談等にあたる人材が必要となる。
(3) 広域的な連携
EDI化やその標準化、物流共同化などに際して、物流の範囲が九州域内を超えて広域に及ぶ場合や、本社が九州域外にある荷主等が関係している場合には、九州域外も含めた広域的な連携が物流情報化進展の条件となる。このため、他地域における物流情報化への取り組み状況を随時把握しながら、関係行政機関、関係業界団体、各事業者の各段階において、広域的な連携を積極的に進めていく必要がある。
(4) 標準化の進展
現在、国内物流、国際物流両面でEDI標準化が進められつつあるが、EDI標準は、それを定めるだけでなく、情報化の多くの場面で活用されて初めて標準となる。この面ではEDI標準の普及はいまだに不十分な段階にあり、関係省庁や業界団体、大手荷主企業、大手物流事業者などの取り組みにより、今後全国的に標準化が進展していくことが期待される。
(5) 経済の成熟を前提とした取り組み
いわゆるバブル経済の崩壊後の長引く経済情勢の停滞に伴い、荷動きの低迷や合理化