なお、実施にあたっては対象者を明確にし(経営者対象、実務者対象)、それに合わせた内容で行うことが肝要である。中小の事業者においては、実務者よりも経営者において情報化への意識が低いことが課題となっているため、特に経営者に対して啓蒙・啓発を図る内容を検討する必要がある。
4)情報化への経済的支援措置
中小事業者の多くは、EDI等の情報システムを導入する際の受け皿となる、パソコンやネットワークといった基本的な情報基盤が未整備なのが現状である。意識面での啓蒙や情報提供に加え、現実的な支援策も必要であり、関係行政機関や業界団体において、情報化投資に対する低利融資や情報機器のリースなどの経済的な支援についても検討することが求められる。
5)業界団体によるパッケージソフトの斡旋
パッケージソフトの活用により、中小事業者のEDI化への取り組みが容易化すると考えられるため、業界団体が斡旋することによってパッケージソフトの導入を促進する。その際には、業界団体で共同購入することにより、ソフトの価格引き下げの可能性も検討する。
6)インターネットEDIのトライアルの実施
インターネットの普及により、EDIの導入コストが下げられる可能性が高まってきたことから、インターネットEDIは、中小事業者へのEDI普及の手段として注目されてきている。業界団体等が中心となり、このような中小事業者向けのEDIソフトをインターネットで参加者に提供し、それを使ったEDIトライアルを、九州地域において実施する。
(3) 企業間の規格不統一に伴う弊害の解消
1]情報化を活用した物流のあり方
情報化が相対的に進展している大手トラック事業者や倉庫事業者等において、企業間のEDIが進められる中で、多端末化によるデータの多重入力やデータ変換作業の発生、企業毎に対応したソフトウェアの開発・運用など規格の不統一による弊害も顕在化してきている。一方、情報化の遅れている中小トラック事業者等においては、人的・物的な負担が情報化の障害となっている。このため、標準化の推進は、物流情報化全般を促進するために重要である。
さらに、物流のシステム化・共同化という物流構造の変化を促進するために不可欠な企業間の情報の共有化を円滑に進める手段として、標準化の推進が求められる。