3. 企業間の規格不統一に伴う弊害の解消
(1) 情報化を活用した新たな物流のあり方
企業間の電子データ交換(EDI)が進められる中で、多端末化によるデータの多重入力やデータ変換作業の発生、企業毎に対応したソフトウェアの開発・運用など規格の不統一による弊害も顕在化してきている。
また、物流EDIの普及促進を図るためにパッケージソフトの開発・販売が行われているが、カスタマイズにかかる費用がソフトそのものの購入費用の数倍〜10倍以上もかかり、導入の大きな阻害要因となっている。特に中小の事業者においてはパッケージソフトの活用がEDI普及の鍵になると考えられ、その促進は標準化の推進と表裏一体といえる。
物流EDI標準メッセージ(JTRN)の開発・導入については全国的に進められているが、その動向を踏まえ、九州においてEDI標準メッセージの導入促進、伝票の統一化、バーコードの普及・統一化などを進めていくことにより、規格不統一による弊害の解消を積極的に図っていくことが重要であると考えられる。
(2) 物流情報化に向けた課題
1]荷主の取り込み
物流事業者は顧客である荷主に対して立場が弱く、荷主ごとに個別に情報システムを導入しているケースも多い。したがって、標準EDIの普及にあたっては、まず荷主側での標準化を促進することが効果的といえる。
2]九州以外に本社のある企業への対応
本社が九州以外にある企業については、意思決定が本社に委ねられており、独自の判断ではEDIを導入しにくいというケースがある。したがって、九州の事業者のEDI化を進めるには、本社を含めた啓蒙普及が必要であるといえ、全国規模での働きかけを進めていくことが求められる。
3]大手事業者における連携の促進
EDI導入の先進事例は、他社との差別化のために取り組まれてきた経緯があり、事業者の中に標準化への意識が低いことも、標準化の普及を妨げるひとつの要因であった。
しかし、EDI化の進んでいる大手事業者においてこそ、規格の不統一による弊害も大きくなっている。EDIの導入が一般的になりつつある現在では、自社内でシステムをクローズするよりも、相互に連携することによるコスト削減・付加価値の効果が大きい面もある。大手事業者が連携して標準化を推進することによって、荷主に対して標準化を強く働きかけることも可能であると考えられる。