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このことから、情報化に対する理解を十分に深め、アンケート実施段階では認識されていなかった情報化のメリットを認識したとしても、特に零細な事業者では、小規模すぎて情報化は見合わない、という判断がなされる可能性が高い。

この場合、情報化を断念し、情報化を必要としない独自の経営戦略を構築するという選択肢もあるものの、比較的大規模な事業者もしくは複数の零細な事業者同士で連携し、一定の事業規模を確保することにより、情報化を推進していくことが望まれる。

4]物流情報化を担う人材の育成

物流情報化の推進に当たっては、各事業者において情報化を担う人材の育成が必要であり、情報リテラシー(読み書き能力)の向上、システム開発・運用ノウハウの向上等が求められる。

また、システム利用にかかるリテラシー以前に、コンピュータやシステムに対するアレルギーが情報化への取り組みを妨げている場合もある。近年ではコンピュータ利用については義務教育段階からの操作訓練等の機会も増えており、長期的には情報化への対応力を持った人材も増加してくると見込まれるが、当面は既存の人材に対しての基本的な情報化教育を検討する必要がある。

5]基本的な情報化基盤の導入

経営者アンケート調査結果によると、保有車両台数の少ない事業者ほど情報機器の導入率が低い傾向があり、特に保有車両台数が10台以下の事業者では、情報機器を導入していない割合が約6割となっている。まずは情報化に取り組むための基本的な基盤として、パソコン等の情報機器の導入を推進することが必要である。

また、EDI化の動きやインターネットの普及にみられるように、パソコンをスタンドアロン(単体)で用いるのではなく、通信ネットワークによって接続して利用する形態が一般化しつつある。全日本トラック協会の調査結果によると、中小トラック事業者におけるコンピュータ利用は、現状では給与計算事務や業務実績集計といった企業内での事務処理における利用が大半である。また、経営者アンケート調査結果によると、情報機器を導入している事業者のうち情報機器をネットワーク化して利用している割合は2割弱に過ぎない。今後は導入したパソコンをネットワーク化して活用することを検討していく必要がある。

 

 

 

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