3]情報化を活用した事業者間の物流共同化
1)求貨・求車情報システムの活用における帰り荷の確保
主として貸切便の形で長距離大ロット輸送を行う事業者については、車両単位での輸送業務となるため、その輸送業務自体には事業者側に情報化による改善の余地が少ない場合が多い。ただし、九州で特徴的な大都市圏向けの農水産品の出荷をはじめとする長距離の貸切輸送や、大手事業者の下請的な輸送は、中小事業者が担っている場合が多く、これらは一方向のみの輸送となる場合が多いため、片荷状況が発生しやすい。これは十分な収入を確保できないばかりか、結果的にコスト競争力を低下させる要因ともなる。
こうしたことから、特に中小事業者においては、帰り荷の確保をはじめとする積載効率の向上が大きな課題であり、そのためには求貨・求車情報システムであるKITなどの情報通信ネットワークの活用が重要となる。
2)地域内輸送の共同化による積合せ輸送の推進
中小事業者にとっては、長距離輸送における帰り荷の確保と同様に、地域内輸送における積合せ輸送の推進にあたっても、事業者間の共同化により貨物取扱量を増加させ、積合せ輸送を行いやすくすることが必要である。
4]情報化を活用した新規事業の展開
輸送需要が低迷する中で中小事業者が生き残っていくには、コスト削減とともに、付加価値の高いサービスの提供や、新規事業の開拓といった面も重要である。
具体的には、中小荷主の在庫管理や一括納品、検品の代行処理、移動体通信(携帯電話やMCA無線等)の活用による緊急集荷依頼への対応、配送時刻指定サービス、インターネットの活用による一般消費者物流の市場開拓(サイバーモール等)などの取り組みが考えられ、それらには情報通信システムの導入が必要となる。特に、荷主の物流業務全般を一括して請け負うサードパーティロジスティクスをはじめ、荷主の物流センターにおける庫内荷役、在庫管理、配送、流通加工といった運営全般の受託業務など、総合的な物流サービスの提供には、情報化が不可欠となっている。
荷主においては、こうした高度な物流サービスに対するニーズが強まる一方、取り引きする物流事業者の削減も志向されており、こうした荷主の意向により、新たなビジネスチャンスが拡大すると同時に、事業者の淘汰がさらに進む可能性もある。(表4-2-1参照)
中小トラック事業者においては、卸売業者の小売店配送など、地域限定型の総合物流サービスであれば、情報システムを活用した総合的な物流サービスの提供が十分可能であると考えられ、情報化の進展をビジネスチャンス拡大の好機として、積極的に位置づけることが期待される。