4)運輸省による補助制度の活用
運輸省は平成10年度から、自動車損害賠償責任保険(自賠責)特別会計を原資として「都市交通の安全・円滑化に資するバス利用促進等総合対策事業」をスタートさせた。同事業は、貨物、旅客を問わず、都市交通安全、円滑化につながる事業を幅広く支援していく考えで、業者、団体、地方自治体などを対象とし、平成10年予算額は約14億円である。同事業では、共同輪配送システムについては、調査事業(補助率1/2)、および実証実験(補助率1/2、赤字かつ年間補助限度額1千万円以内が条件)に対して補助を行うこととしており、第1回となる平成10年度は東京、沖縄の共同配送に対する支援が認められた。
東京では京浜、板橋、葛西の3ターミナルにおいて、配送数の少ない地域向けの貨物を共同輸配送する共同化実験を行った。沖縄では北西部向けの貨物の共同輸送導入が模索されており(愛称:やんばる路共同輸送)、同事業ではその一環として空港からの北西部向け貨物の実証実験を行った。共同化への取り組みに際しては、こうした補助制度なども活用しながら、計画策定、実証実験を行っていくことが必要である。
3]トラック事業者による貨物・車両相互融通
1)KIT導入の普及支援
KITの普及を促進するため、九州トラック協会や各県トラック協会などが主体となり、KIT導入の説明会、研修会を積極的に開催する。
また、情報システムは、普及することによって情報量(コンテンツ)が増大し、システム導入の効果が現れるという循環性を持つことから、KITを九州に普及させる過渡的期間においては、数週間から数ヶ月のパソコンのリース、貸与、システムの無料利用など、システム普及にはずみをつけるような事業展開を行う。
首都圏から離れた九州管内においては、KITなどの普及による幹線輸送の効率化には大きな期待が持たれ、ハード的な普及支援、および研修会開催などソフト的支援、さらに情報共有に対する抵抗感の払拭などの情報リテラシー向上の働きかけなどを行うことにより、KITの普及を積極的に展開することが必要である。
2)KIT改善活動への積極的な参加
経営者アンケートにおいては、物流共同化を推進するときの課題として、「求貨・求車情報システムの改善・使い勝手の向上」に対して2割以上の経営者の回答が寄せられている。さらに同アンケート調査から、関心のある取り組みについてみると、車両台数の多い大規模企業を中心として、「インターネットの接続・利用」(全体21.4%、51台以上32.2%)、「GPS等による車両の位置確認システムの導入」(全体15.1%、51台