(4) 物流事業分類と物流共同化の関係
(3)における「業態」に着目した物流事業の分類(5)倉庫事業を除く)と、システム化とともに物流構造の変革の側面である共同化との関係について整理する。
1]総合・広域型物流事業
特別積合せ輸送自体が物流事業者の提供する一種の共同輸送と捉えられる。各事業者は自社の輸送網自体が、輸送商品の内容・コスト両面における競争力強化の手段であるため、従来、事業者間の共同化は休日の幹線運行等に限られていた。しかし、近年では、大手事業者も含めて、保冷輸送を中心に郵政省(ゆうパック)に委託するケースが相次ぐ(表2-2-3)など、荷主だけでなく物流事業者においても、最適な資源の活用を求めてアウトソーシング化の動きが活発化しており、同一の輸送網も複数の事業者が共同で利用するという意味で、一種の共同化が進展しつつある。
資料)各種資料より三和総合研究所作成
2]総合・地域限定型物流事業
貨物の納品先が同一となることから、業界を単位とした荷主主導の共同化が進展しつつある。特に共同物流センターを設置することにより、配送効率の向上が図られる。九州においては、首都圏、関西圏等の生産拠点からの貨物を九州域内に配送する物流が主たる対象となる。
3]輸送特化・広域型物流事業
物流のシステム化により製造→卸→小売という一連の物流を効率化しても、その流れが一方通行であるため、特に長距離輸送では空車回送の発生による非効率が生じやすい。九州では、上述のように、大都市圏→九州の下り方向の片荷になりがちである。こうしたことから、物流事業者による帰り荷の確保や積合せ輸送の推進などによる共同化が求められる。
4]輸送特化・地域限定型物流事業
2]で述べたように、荷主主導の共同化により積載効率の高められた輸送を担う。また、荷主側の取り組みでは共同化のできない物流(中小零細荷主の物流等)については、物流事業者間での共同化により積合せ輸送を推進することも想定される。