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3. 物流情報化の基本方向

 

2.で述べた物流構造の変革の方向性の中で、昨年度調査で設定した5つの物流情報化の基本方向の位置づけを明らかにする。

 

(1) 物流構造の変革と物流情報化

 

まず、システム化・共同化を中心とする物流構造の変革と物流情報化の関係について、整理する。

1]物流システム化の手段としての情報化

荷主企業の調達から納品に至る最適な物流システムを構築するためには、物流にかかる一連の情報を一元的に把握することにより、物流全体からみて最適な在庫管理や配送計画の立案などを実現させていくことが不可欠である。すなわち、このような物流の流れに沿った垂直方向の情報化は、物流システム化の際の必要条件ということができる。

2]物流共同化の手段としての情報化

物流の共同化を促進するためには、企業間の水平方向の情報の共有化が不可欠である。物流の業態別に共同化と情報化の関係をみると、輸送特化・広域型物流事業における帰り荷の確保のように物流事業者が中心となる共同化においては、物流事業者間での情報の共有化が必要となり、総合・地域限定型物流事業における共同配送のように荷主が中心となる共同化においては、業界内での荷主企業間での情報の共有化が重要となる。

また、主に都市内交通の円滑化という全く別の観点から取り組まれている商業業務集積地域内の共同集配においても情報の共有化により、集配時の積載効率の向上や荷主に対するサービス水準の維持向上といった効果が期待される。

3]物流情報化全般の推進のための標準化

1]および2]で述べたように、物流のシステム化・共同化にあたっては、物流の垂直方向・水平方向における複数の企業間で情報が共有化されることが重要である。こうした企業間における情報の共有化を円滑に進めるためには、標準化の推進は重要な意味を持つ。

4]国際物流への対応

国際物流においても、これまでに述べた物流構造の変革への対応や標準化の推進の必要性は、国内物流同様に捉えられ、通関業務や港湾管理者・港長への港湾諸手続における情報化が進展しつつあることから、国際物流にかかる情報化の緊急性が高まっている。

 

 

 

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