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(2) 速度制御に必要な情報の範囲

1]車上装置は、地上装置から、保安伝送装置を介して、速度制御パターンを作成するために必要な前方の情報(前方情報という)を取得する。このとき、車上装置が必要とする情報は、地上装置において、常時管理(更新、記憶)する必要があり、地上装置では、必要な範囲(前方まで)の情報を中継伝送する必要がある。前方情報の情報量は、管理する範囲で決まり、これによって地上装置から車上装置への情報量(送信時間)、地上装置で中継する情報量(送信時間)が決まる。本システムでは、TDMAスロットを定めて通信を行うため、情報量が多いとそれに比例して通信周期が遅くなる。

2]速度制御パターンを作成する上で最低限必要となる前方情報は、次のように考えることができる。前方に走行するための制限が全くない場合、列車は車両性能(最高速度、ブレーキ減速度など)を加味した速度制御パターンにもとづいた走行ができる前方位置までの情報があれば、スムーズに走行できる。これ以上先の前方情報を提供したとしても列車の走行には必要ない。

3]地上装置で管理している前方情報に制限範囲を設けるため、当該地上装置では、この範囲より前方の情報が得られない。そこで、管理している範囲において前方列車がいない場合、管理している前方情報の境界位置となる点を仮想の前方列車位置(仮想停止点)とする。仮想停止点は、列車が制御ゾーンを移動するのに伴い、スムーズに走行できるように移動させる(図3.2.2-2、図3.2.2-3)。

4]図3.2.2-2の例では、列車がスムーズに走行するために、車上装置は、装置2から3の間を列車が走行中に、装置4から5の間の前方情報を受信する。

5]図3.2.2-3の例では、列車がスムーズに走行するために、車上装置は、装置3から4の間を列車が走行中に、装置5から6の間の前方情報を受信する。

 

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図3.2.2-2 「速度制御に必要な情報の範囲」と「仮想停止点」(その1)

 

 

 

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