3. システム検討
本開発事業「無線による先進的信号システムの開発」の課題が目標とするシステムについて検討を行った。
3. 1 概要
3.1.1 システム概要
3.1.1.1 装置構成
システム構成を図3.1.1-1に、装置構成を図3.1.1-2に示す。
1]本システムは、列車の進行方向に小さく絞られた無線通信領域を持った「トランスポンダ型列車検知装置」と、広範囲の無線通信領域を持った「保安伝送装置」と、バス同期2重系マイコン等によってフェイルセーフに構成された「処理装置」で構成する。
2]トランスポンダ型列車検知装置は、レールを挟んで対向設置される地上インタロゲータ装置と地上照査装置、および、列車の前部と後部に設置される車上レスポンダ装置で構成する。
3]保安伝送装置は、地上と車上で構成する。また、地上保安伝送装置は、当該装置の両側に設置された2台以上の他の地上保安伝送装置と無線通信が可能な位置に設置する。また、車上保安伝送装置は、列車の前部と後部に設置する。
4]地上と車上の各装置は、処理装置に接続し、これによって処理を行う。
3.1.1.2 動作概要
1]装置間の送受信データを図3.1.1-3に示す。
2]列車の速度制御パターンは、車上で作成する(詳細は3.2.2.2項参照)。
3]列車位置および速度は、速度発電機信号を用いて作成することを基本とし、トランスポンダ型列車検知装置によって位置補正を行う(詳細は3.2.2.2項参照)。
4]地上側と車上側で小送信電力無線LANを構成し、速度制御パターンを作成するために必要な情報(前方列車位置、進路情報など)をTDMAによって伝送する(詳細は3.2.1項参照)。
5]本システムは、車上装置が列車位置を自ら発信するシステムであるため、地上装置が電源断によって列車位置を消失し、再び電源を投入したときに、車上装置が電源断または故障によって自列車位置を発信できない状態であると、この当該列車の検出ができない。そこで、別系(別電源とし、他の装置が電源断になっても動作可能である)において、常時、ゾーン単位で列車の台数管理(列車数および列車番号の管理)を行い、地上装置の電源投入後には、車上装置から受信した列車番号および自列車位置と照合を行い、一致を確認後、走行許可を与える。