1.2 目 的
船舶安全法では、舶用品に対して一定の技術基準が設定され、材料から製造方法、品質検査、性能検査と、各段階での厳格な検査を求めているが、これらの検査を合理化する目的で認定事業場制度を設けている。
この制度の運用は、前述のように昭和38年に製造事業場を対象に制定された規定により実施されてきたが、その後昭和48年に改造修理及び整備の事業場にも対象を拡大するに併せて、“船舶安全法の規定に基づく事業場の認定に関する規則”が制定され、以来これに従い運用されている。
製造認定事業場制度の制定は36年前であるが、当時の事業場の製造方式が主要部品については一貫型製造方式を採用するものであったことから制度の導入に際しても、これに対応したものとなっていた。昭和48年の改造修理、整備の事業場に対象を拡大した際にも、昭和38年当時の製造形態から大きな変化が無かったためこれを踏襲し、一貫型製造方式を基本とするものとなっている。
その後、各企業は国際競争の激化に伴い、生き残り発展するための一戦略として、急速に専業化や分業化を推し進め、技術力や信頼性の向上と相倹って、企業間の連携を強めている。生産性の向上やコスト低減の策として、購入部品の拡大や工程の外注、さらにはOEM契約による完成品の丸ごと外注等の方式が採用され、一般化の趨勢とすらなっている。
このような、品質管理の手法の変化や生産体制の変化の中で、“安全”を確保するための手段も、次のような観点から流動的変化が求められ始めた。
a)“安全な製品”を作る為には、設計、製造、検査等に何らかの規制が必要。
←適性競争、環境保全
b)とは言え、現行の法規では運用に円滑性がとぼしくなってきた。
c)それは何故か。
1)製造事業者の生産体制が変わってきた。
←グローバル化、専業化、分業化、製造ラインの自動化等
2)製品の安全性の認定に新しい方法が生まれてきた。
←技術向上や技術移転による相手技術の容認等
3)PL対応、環境問題等新しいニーズが生じてきたため製造事業者側の自己責任において製造するという体制が必要となってきた。
←ISO対応(9000シリーズ、14000シリーズ)、新素材の開発等
製品の品質を焦点として考える場合、分散型製造方式においては製品の品質を生み出す工程が分散するため、製造事業者の監視の目が行き届かなくなる恐れがあり、一貫型製造方式に比べて、よリー層強固な品質保証システムを構築する必要がある。