一方、時代とともに変化する社会背景の中でも永遠に変わらない課題として、「安全」があげられる。
前述のように、国は国民の生命と財産の安全を守るために、各種の公法規定を設けており、海運の発展とともに多数の海事法が整備され、今日に至っている。
船舶の安全確保の手段として、国が規制しているものは、
1] 船舶の構造、設備に関するもの(物)
2] 乗組員の行為、資格に関するもの(取り扱い)
3] 海上での交通法規などに関するもの(運航)
4] 事故の原因追及に関するもの(再発防止)
の4つが主なものとなっている。
この船舶の構造、設備に関する法令として「船舶安全法」があり、舶用品の安全基準や検査の時期等が定められている。
この中で、検査の合理化を狙いとした認定事業場制度が設けられているが、昭和38年には製造事業場を対象とし、続いて昭和49年には改造修理及び整備の事業場を対象として拡大され今日に至っている。
1.1.2 舶用品の生産形態の変化
従来の製造方式は、いわゆるライセンスものを除き、一貫型製造方式が一般的であったが、近年のように経済環境の変化により、企業としての効率化の要求が一層加速してくると生産方式も分散型製造方式へと変化してきた。
特に技術革新の進展と共に国際間のギャップが埋まってくると、コスト低減の一策として、海外からの部品調達の拡大が図られるようになった。更に、経済問題、環境問題等の理由により国内生産が割高になると、その部分を海外に求めるものが出てきている。
この傾向は今後益々強くなると考えられ、製造事業に対する定義(性格付け)は、例えば以下のような製造方式の違いを考慮したものに区別する必要があると思われる。
新しい視点による製造事業の定義(性格付け)
パターン1,一貫型製造方式;
製品の商品化から納品までの工程を自社で行う製造事業者。
製品の企画開発〜設計〜製造〜納品〜(アフターサービス)
パターン2,分散型製造方式;
パターン1のうち、製造部分の一部又は全部を外注委託により行う製造事業者。(実際の製造が他社で行われた製品でも、受入検査により自社製品として受け入れ、自社ブランドを付けて販売する等付加価値を加えて商品化するケース)
製品の企画開発〜設計〜製造(外注委託)〜納品〜(アフターサービス)