7-1-10 スペクトル分析器
信号の周波数、レベル及び信号スペクトラムの分布状態を直視測定でき、主として次のような用途がある。
(a) パルス波のスペクトラム分析
(b) 信号の高調波ひずみの分析
(c) 非直線系素子から発生する混変調ひずみの分析
(d) 信号近傍の側波帯雑音及びスプリアスの測定
(e) 送信機などの寄生発振の検出
(f) 変調波のスペクトラム分析
(g) 実効高さが分かっている空中線を併用しての電界強度測定
電気的信号を観測する一般的な方法はオシロスコープを用いて見ることである。CRTの管面上の水平軸は時間を示しているので、信号間の相対的なタイミングや位相情報を得るために便利であるが、増幅器、発信器、ミキサ、変調器、フィルタなどの回路特性の測定には不向きである。これら回路特性は、周波数に対するレスポンスの情報により初めて定量的な特性付けができるので、電気的信号を各周波数の関数としてレべル表示するもので測定する必要がある。周波数成分の測定器といわれる代表的なものにスペクトラム・アナライザ(スペクトル分析器)がある。
スペクトル分析器を方式で分類すると走査形、非走査形に大別される。走査形(掃引方式)にはスーパーヘテロダイン形とRFフィルタ同調形があるが、スーパーヘテロダイン形を単にスペクトル分析器と呼び、非走査形のものをFFTスペクトラム・アナライザと呼ぶことが多い。
スペクトル分析器は一種の掃引する受信器である。スーパーヘテロダイン形スペクトル分析器の基本回路構成を<図 7-1-14>に示す。入力回路、周波数変換回路、IF回路、検波回路に要求されることは、受信周波数を掃引しても利得が変化しないこと、すなわち周波数特性が平坦であることとダイナミックレンジが十分であることがレベルの直読に不可欠である。掃引時間を決定するためのノコギリ波発生回路の出力信号でCRTの水平偏向と局部発信器制御回路を制御する。