第9章 船内LAN
9.1 概説及び定義
一般にローカル・エリア・ネットワーク(LAN:Local Area Network)とは、オフィス内やビル内、あるいは工場の敷地内などの特定区域内で、コンピュータ、入出力機器などを有機的に結合し、通信機能を付加することによって、分散処理や情報資源の共有化などを効率良く行わせるための地域内情報通信網のことをいう。
船舶においても、近年、省人化、省力化、更には安全運航のための自動化の要請とエレクトロニクス技術の発展により、船内各部のプラント・装置類の自動化が積極的に推進されているが、更には船内に分散配置された自動化装置類を有機的に結合することによる、より高度なシステム化のニーズが高まってきた。
これを実現するためには、船内のデータを一元管理し効率的に運用する船舶特有の情報処理技術の確立が不可欠であり、このための情報通信網が、船内に設置された場合、これを「船内LAN」と定義する。
9.2 特徴
LANは、種々のネットワークの中でも比較的近距離で、かつ、高速通信が可能である。他のネットワークに比べ次の特長がある。
(1) 高速通信
通常、数メガbpsから数百メガbpsの高速通信が可能であり、このため、ネットワーク内でファイルシェアやプリンタシェアなどの資源の共有が可能となる。
(2) 高信頼性
近距離の通信を高速で行えるためデータエラーが起こり難く、また、分散処理のため一部で発生したトラブルが他に波及しないような設計が可能であるなど、信頼性の高い通信が可能である。