4] 各メッセージの内容の情報と所要のカバレージとを考慮して、送信メッセージを選択できるので、利用者はその船位の周囲の一つ又は複数の送信局からのメッセージを選択すればよい。
(3) ナブテックスシステムの運用
各送信メッセージの構成は、図2・5の通りで、最初に放送開始を示すZCZCが送られ、その後に一字分のスペースを開けて、国際ナブテックスでは前置文字B1B2 B3 B44文字が、日本語ナブテックスではM1 M2 M3 M4 M55文字が続き、1字分のスペースをあけてキャリッジリターンとラインフィード(改行をして左端からの印字の用意をする信号)によって印字の準備ができる。本文の最初は「151416 UTC MAR85」など、メッセージ作成の時間が日時分UTC(協定世界時)月年(年は任意)と入り、改行などの信号が続く。メッセージの最初には、例えば「NAVAREAIII274」というようにその識別とB3B4とは異なる連番を付す。本文が終わると終了信号NNNNを付して、2行の改行などをしておく。
前置文字のB1(日本語ナブテックスではM1)は送信局の識別符号で、図2・3にあるようにNAVAREAごとにAからZと順番に付される。同じ識別の局は隣のNAVAREAからは離れており、かつ、隣接NAVAREAの国の間の相互協調がとられるので、相互干渉の可能性はないことになっている。こうして、ナブテックスの送信は約300海里の設定カバレージをもっている。受信機は航行水域によって受信する送信局を指定できる。また、送信局間の干渉を最小にするために、カバレージ内のすべての局の地理的な相対位置を考慮にいれて送信スケジュールが作られる。IMOで勧告されている基本的な組織的送信マトリックスを図2・4に示す。各グループは6局の送信局からなり、その各々は4時間ごとに10分間の送信時間が割り当てられる。ただし、この割当て時間のかなりの部分が使用されない見込みなので、捜索救助情報や強風警報のような重要な緊急放送は可能とされている。送信スケジュールの割当てはIMOで承認することになっている。
我が国では、5局の送信局から図2・1のように各局4時間ごとに、英文は10分間、日本文は17分間の送信時間が割り当てられている。
B2(日本語ナブテックスではM2)は、放送内容の識別符号である。その船舶が必要とするメッセージの種類を受信機に設定することで、受信機はその情報を印字するかどうか判断する。このB2(M2)には、次の英字が割当てられてが、そのうちのA、B、D、Lの4文字は受信を拒否できない重要メッセージである。