一つのICの中の任意の場所(番地)を選び出して、それにデータを記憶させ、また、それからデータを読み出すことをアクセス(access)というが、任意の番地にアクセスできるメモリを、RAM(Random Access Memory)といい、これは、読み書きの両方ができるメモリのことである。RAMはメモリセルの構造によって、スタティックRAMとダイナミックRAMに分類することができ、スタティック RAM、はフリップ・フロップ方式のメモリセルをもったもので一般的に電源を切らないかぎりメモリの内容を保存することができ、1ビット当たりの消費電力が大きく、動作速度が遅い。
これに対してダイナミックRAMは、書き込んだ内容を2〜3ms以下の短い時間しか保存しておくことができないので、メモリの内容を保たせておくために常時再生のためのリフレシュパルスを供給しておく方式のもので、周辺回路が複雑となるが、消費電力が少なく動作速度も早いので、大容量メモリを必要とする時に用いられる。なお、 RAM は、電源が切れると記憶内容が消滅するので揮発性(Volatile)メモリと呼んでいる。
これに対して、ROM(Read Only Memory)は、メモリの任意の番地にアクセスはできるが、これはICを製造する過程で書込が行なわれ、その後は書込はできない(マスクROM)。ただ、電源が切れても書込の内容が消えることはない。したがって、計算機のプログラムのようにそれが消えては困るようなところに使用される。このように 電源が切れても記憶内容が残っているものを不揮発性(Non Volatile)メモリと呼んでいる。
なお、ユーザーが後から自由に書き込めるものもあり、これをPROM(Programable ROM)と呼んでいる。PROMの中で、ある特殊な条件でのみ書込及び消去できるPROMもあり、特に紫外線を利用するものをEPROMといい、電気的な方法で消去するものをEEPROMという。例ば、ナブテックス受信機において、メッセージIDの蓄積用としてEEPROMが使用されている。GMDSS機器では規則により受信した遭難情報を記憶したり、遭難信号発生のための自己識別符号を記憶したりしなければならないため、随所にRAM及びROMが使用されている。(法規編参照)