伝送方式におけるアナログ、 ディジタルは、上述の語源からもわかるように、アナログ伝送方式では情報を「連続値」として扱うのに対し、 ディジタル伝送方式では情報を「数値」として扱う。すなわち、 振幅変調方式や周波数変調方式に代表されるアナログ伝送方式においては、搬送波の振幅や周波数といったパラメータを、伝達すべき情報に比例して変化させることにより情報伝送を行うものであるのに対し、 ディジタル伝送方式においては、 搬送波の代わりに一般には繰返しパルスを用い、 このパルスの有無によって情報の伝送を行うものである。
3・8・2 ディジタル伝送方式の概念
ディジタル伝送方式をわかりやすく要約すると次のようになる。
「代表的なアナログ信号である電話の場合、連続した複雑に変化する信号を1秒間に数千個という、小間にして、その瞬間毎の音声の強さを、それぞれ1個につき数ビットのディジタル符号(通常は8ビット)として相手側に送る。
受信側ではパルスの有無を読み取って、元の音声の強さを再現する方法をディジタル伝送方式という。」
この方法で画像やデータ等の情報も伝送することが可能である。
3・8・3 アナログ信号の符号化
前項で述べたごとくアナログ信号をディジタル伝送するためにはアナログ信号をディジタル符号に変換しなければならない。
アナログ信号をディジタル符号に変換するには次の3つの基本的要素があり、
信号処理は(イ)→(ロ)→(ハ)の順序で行われる。
(イ) 標本化(SAMPLING)
(ロ) 量子化(QUANTIZATION)
(ハ) 符号化(CODING)
図3・52はディジタル伝送の代表格であるPCM(PULSE CODE MODULATION)の例であるが、この図により前述の信号処理について説明する。