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同図(II)はVCE定のときのIBとICの関係を示したもので、hFEを与え、かつ、hfeは同曲線のこう配から求められる。同図(III)はベース・エミッター間電圧VBEとIBの関係を示したもので、hieは同曲線のこう配から求められる。なお、IBの流れ始めるVBEをカットオフ電圧と呼び、この値はゲルマニュウムトランジスタで 0.1V程度、シリコントランジスタでは 0.6V程度である。

 

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図2・23 エミッタ接地回路の静特性

 

(6) 最大定格

これはトランジスタの寿命と信頼性を保つために、たとえ、瞬時でも越えてはならないという最大の値を示したものである。

1] コレクタ・ベース間耐圧VCBO

エミッタを開放したときの、ベースとコレクタ間の最大許容電圧である。この状態で流れる逆バイアス電流がコレクタ遮断電流ICBOである。

2] コレクタ・エミッタ間耐圧VCEO

ベースを開放したときの、コレクタとエミッタ間の最大許容電圧である。

3] エミッタ・ベース間耐圧VEBO

コレクタを開放したときの、エミッタとベース間の最大許容電圧である。この状態での逆バイアス電流がエミッタ遮断電流IEBOである。なお、1],2]は通常の使用状態における最大許容電圧であるが、3]は何かの条件により逆電圧がエミッタ・ベース間にかかった場合の最大許容電圧である。

4] 最大許容コレクタ電流Icmax

トランジスタ回路で、コレクタ電流が増加してある値以上になると増幅率が減少し始める。この値を最大許容コレクタ電流という。

5] 最大許容コレクタ損失Pcmax

ICとVCEの積がトランジスタ内部で失われる電力であり、ほとんどが接合部で発生する熱となる。この熱による温度上昇が接合部許容温度を越えないための最大電力値である。

 

 

 

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