図2・22のように、トランジスタの各接地回路を中味不明の四端子回路網とみなし、2個の入力端子と2個の出力端子によって低周波の電流や電圧の測定を行い、その等価定数を決めようとするものである。
いま、入力電圧、入力電流をV1,I1、出力電圧、出力電流をV2,I2とすると、h定数は次のように表される。
hi (=V1/I1):出力端子を短絡(V2=0)したときの入力インピーダンス(Ω)
hf(=I2/I1):出力端子を短絡したときの電流増幅率
hr(=V1/V2):入力端子を開放(I1=0)したときの電圧帰還率
(トランジスタで増幅された出力電圧が入力側にわずかにあらわれる現象により、その値は10-4程度である。)
ho(=I2/V2):入力端子を開放したときの出力アドミッタンス(υ)
これらの定数は接地方式によって異なるので、それぞれの回路によってサフィックスを付ける。例えばエミッタ接地回路の入力インピーダンスはhie、ベース接地回路のときはhib、コレクタ接地回路の場合はhic、のように表す。
なお、h定数は低周波信号に対するもので、高周波信号に対してはy定数と呼ばれているものがある。
(5) 静特性
トランジスタの各接地方式において、入力、出力の電圧・電流の直流的な関係を示したものを静特性と呼んでいる。図2・23に規格表によく用いられるエミッタ接地回路の静特性の一例を示す。同図(I)はベース電流IBをパラメータとし、コレクタ・エミッタ間の電圧VCEとコレクタ電流ICの間の関係を示したもので、VCE-IC特性又はコレクタ特性と呼ばれる。この図からhFEとhoe求められ、また、トランジスタの動特性も同時に考察することができる。