点線で示した曲線Dは浮標のような小物標で、曲線Bとの比較をみると、曲線DがBの上に出た部分では、レーダー受信機の利得を調整することによって、海面反射妨害に打ち勝って小物標の存在を探知することが可能であることになる。
9・8・4 雨、霧などの影響
図9・14ではマイクロ波が水蒸気によって減衰を受けることを示したが、水蒸気が凝結してできた水滴があると、そこでレーダー電波はその一部が反射され、また、吸収されて減衰をする。水滴によるレーダー電波の反射からレーダーが雨域を表示し、その中にある小物標の反射波をマスクしてしまうこともよく知られている。ここでは実験データにより、レーダー電波の雨の中あるいは霧、雪などの中での減衰の効果について見てみよう。図9・23の中の実線はマイクロ波の雨による減衰の実測結果であり、図に示してあるとおり、16mm/hrの強雨から0.25mm/hrの霧雨までを四段階に分けて示してある。