日本財団 図書館


以上は地表面を平面と考えたけれども、地表面が球面でも、若干の式の変形はあるが現象的には同じである。図9・18にはあるレーダー(波長3cm、送信出力30kW(尖頭値)、空中線高50ft(15.2m)同水平ビーム幅2度など)を仮定したときのレーダー断面積が80ft2(7.4m2),1,250ft2(116m2),20,000ft2(1,860m2)及び32,000ft2(30,000m2)の物標がどのような高さと距離で探知できるかの曲線を試算したものである。

 

230-1.gif

図9・20 高さ方向に広がりをもつ物標の反射波強度の変化

 

230-2.gif

図9・21 三つの物標の反射波強度の変化

 

この図と図9・17から、高さの異なる物標はその距離によって最大と最小の反射波強度をとる点が異なっていることになる。図9・19がこのようすを示したもので、その高さが50ft( 15.2m),25ft及び12ftと異なった物標による反射波強度の変化の状況を示してある。

以上の論議は高さ方向に広がりを持たない物標、すなわち、点に近い物標についての論議であるが、このような物標の例としては、後に述べるレーダー反射器がこれに相当するし、飛行中の航空機等もこれに当たるであろう。しかし、一般に航海用レーダーが探知をする物標は、例えば船のように海面からある高さまでの高さにわたってレーダー電波の反射部分がほぼ連続的に存在をするのが普通である。このような上下に広がった物標からの反射波はちょうど図9・20において、より多くの高さの異なる点物標の反射波の強度を合成した値として表現され、レーダーとの距離の変化によって、反射波の強度に最大、最小部を持つことなく、図9・19の最高部近くを連ねた形で減衰していくことになり、図9・20に示す4乗域の線がそれに相当する。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION