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物標から反射される電波はまた同じ経路を通って直接波と大地反射波に分かれてレーダーに戻るので、大地反射波のあるときのレーダー方程式は(9・11)式の(F2×F2)倍にする必要がある。すなわち、

 

228-1.gif

 

となる。ここで、2πh1h2/(Rλ)の中で、レーダーと物標との間の距離Rは他の係数に比べて非常に大きく2πhaht/(Rλ)〈〈1であるから、sin {(2πhaht/(Rλ)}≒2πhaht/(Rλ)とすることができるので、次式が得られる。

 

228-2.gif

 

こうして、大地反射波の直接波への干渉を考え、かつ、Rがha,htに比べて大きいと、受信電力はR4でなくR8に比例して減衰することになる。実際の物標に対して、レーダーでの受信電力を距離によって測定していくと図9・16のような結果が得られ、ある距離までは、受信電力はR4に比例し、そこを過ぎるとR8に比例して減衰をする。これを4乗域、8乗域と呼ぶこともある。

図9・12に戻ってもう一度考えてみる。(9・19)式のsin の中の角が90度(π/2)の整数(n)倍であるときを考えると、

 

228-3.gif

となり、ここでnが奇数(n=1,3,5……)のときは sinは1で、(9・19)式は最大に、逆にnが偶数(n=2,4……)のときは sinは0で(9・19)式は最小になる。したがって、図9・15を書き直すと図9・17のような線の上で反射波の強度が最大又は最小になるとして示せる。

 

 

 

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