電子ビームが管面に当たっても、何も見えないので、そこには蛍光体が膜状に塗付してある。カラーTVでもわかるように、蛍光体はいろいろな色の発光ができるが、レーダーの場合は、空中線の1回転の間、その像が残っていなければいけないので、図7・11(c) に示すように、蛍光面と残光のある燐(りん)光面とが二重に塗布してあるP7と呼ばれる蛍光膜を使用するのが普通である。この場合蛍光面はZnS:Agが塗布されて青白い光を出し、燐(りん)光面は(Zn、Cd)S:Cuで黄緑色に光り、これが残光となる。普通は橙色のフィルタで、蛍光のほうを除去して使っている。このほかに蛍光面にP1(Zn2SiO2:Mn、黄緑色),P2(ZnS:Ag:Cu、緑白色)等いろいろなものを使ったCRTが作られている。
レーダーで一般にCRT面の前面に黄色のフィルタを取り付ける場合が多いのは、青色の蛍光を見えなくして黄色の燐光、すなわち、残光だけが見えるようにするためである。
CRT面における輝点の明るさは、蛍光面に当たる電子流の単位面積当たりの電子の数が多く、かつ、その速度が速いほど明るくなる。この電子流を制御するには、カソードと第1グリッドの相対的な電位差を変えることによってできる。すなわち、第1グリッドの電位をカソードに対して負にするほど電子流は減少して輝度は暗くなり、逆に電位差を小さくするほど電子流は多くなって明るくなる。
電子の速度を変える場合には、一般に第2グリッドの正電位を変えることによって制御し、電圧が高くなるほど電子の走行速度は速くなって、輝度は明るくなる。したがって、第2グリッドに探知時間だけ正のゲート電圧を印加して速度を速め、さらに第1グリッドに受信信号が加わるようにしておくと、信号がきたときには第1グリッドとカソード間の電位差が小さくなり、蛍光面に適当な明るさの輝度が現れる。
7・4・3 カラーブラウン管
カラーブラウン管(カラーCRT)は、原色信号(赤・緑・青)によって制御された電子ビームを発射する三本の電子銃と、色選別を行うためのシャドウマスクと、赤・緑・青に発光する蛍光体を規則正しく塗り分けてある蛍光面とで構成されている。