代表的な例を図7・12に示す。電子銃は図7・13、図7・14に示すように、三本の電子銃がデルタ形に配置されたものが多く使われている。シャドウマスクは、電子銃の配置と対応して、図7・12に示すような長方形か、あるいは図7・13に示すような丸形の微細な小穴の設けられた薄い金属板で、蛍光面から約10mm離し、蛍光面と平行に取り付けられている。この穴はTV用では約 0.6mmのピッチで、コンピュータ用などの高精細度の分解能のものでは約 0.3mmのピッチであけられ、穴径は、約 0.2〜 0.3mmとなっている。
正しい色を再現するためには、電子ビームを正確に蛍光体に当てる必要がある。このため、蛍光体のドットの直径とビームの直径とに差をもたせ、組み立て誤差や地磁気等の外部からの影響を除去する工夫がなされている。
蛍光面への蛍光体の塗り方は、シャドウマスクに対応して、ドット構成とストライプ構成とがある。TV用でドット構成(デルタ型)の場合は、各色は図7・13のように配列されて一つの組みとなっていて、各ドットは直径が 0.3〜0.4mmで、ピッチは 0.6〜0.7mmの間隔で塗られている。ストライプ構成の場合の蛍光体は、図7・14のように横方向におよそ0.2mm間隔の幅で塗られている。最近のものは各蛍光体を黒色物質で囲んで外光による反射を減少させ、コントラストの向上を計っている。
三本の電子銃からの赤・緑・青の各原色信号に制御された電子ビームの流れは、 7・4項で述べた一本の電子銃の動作と同じである。電子銃から放射された電子ビームは各電極(電子レンズ)を通過し、赤・緑・青の各電子ビームをシャドウマスクの穴の一点に集束させて交差させ、蛍光面に当てて発光させる。シャドウマスクは、赤の電子ビームは赤の蛍光体のみに当たるように、また緑・青の電子ビームもそれぞれ緑・青の蛍光体のみに当てて発光させるように色選別を行っている。
シャドウマスクの穴に対応して、赤・緑・青の三色のドットが一つの組となるように塗布された蛍光面の上を、赤・緑・青の各電子ビームのバランスを取りながら蛍光面全体を発光させると、各発光色が混じり合って白色に光って見える。これに対し、赤・緑・青の三本の電子銃から放射する電子ビームの量を変化させると、走査線上の各点の蛍光のバランスが変化して希望の色を発光させることができる。