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このように電界の効果を使った電子レンズを用いたものを静電形の集束というが、このほか、磁界の作用で電子ビームを集束する方法もあり、これを電磁形の集束という。この場合は、図7・11の(d) に示すように、第2グリットより先の電子レンズを構成する部分の管の外側に適当な集束コイルを取り付け、このコイルに直流を流して軸方向の磁界を作り、これによって電子流を集束して、ちょうど蛍光面のところで焦点を結ばせるようにする。

このように、電子ビームの集束をすると、電子ビームは管面の中心に細いビームとして当たるようになるが、CRTはこの電子ビームを使って管面全体に図形を描かねばならないので、この電子ビームを上下左右に曲げる機能が必要であり、これを偏向という。偏向にも静電偏向と電磁偏向とがあって、静電偏向の場合は、偏向板と呼ばれる互に対向する2枚の金属板を、上下用と左右用の二組を電子レンズの前方に封入しておき、この偏向板に電圧を加えることによって電子ビームの向きを変えさせる。例えば、上の偏向板に正、下の偏向板に負の電圧を加えると、電子ビームは上方に曲がり、その偏向量は加えた電圧によって変化をする。例えば、CRT面にレーダーの距離環のような円を描こうとすれば、上下と左右の偏向対に、互に90°の位相差をもった正弦波(サインウェーブ)を掛けてやればよい。

 

7・4・2 レーダー用ブラウン管

レーダーの場合には電磁偏向のCRTが使用されることが多い。電磁偏向の場合は、CRTの管の外部に電磁コイル(偏向コイル)を巻き、それに適当な電流を流して、管の一部に磁界を作ってやると、マグネトロンのところで述べたフレミングの左手の法則によって電子ビームを曲げることができる。上下と左右への偏向には二組の偏向コイルが必要であるが、レーダーのPPI像を作るためには一組だけの偏向コイルを使って、そのコイルをレーダーの空中線の回転に同期して回転させ、コイルには、のこぎり波の電流を流すようにすれば、この一回の三角波電流によって、電子ビームは管面の中心から外周に向かって偏向し、同時にその偏向の向きは、コイルの回転とともに管面を一周するように変化をして、所要のPPI像が作られる。

 

 

 

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