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一方、穴Aから入って左側に進む波には穴Bから入って左側に進む波が加わる。しかし、この二つの波は伝搬の径路長が(λg/4)×2=λg/2だけ異なっており、位相的に半波長異なるので、この二つの穴から入ってくる波のエネルギーが等しければ、A点で合成したときには互に打ち消し合って、結果的に、左側には電波は伝わらないことになる。また一方、逆に右から左に主導波管を伝わる波は、下側の導波管では左側にのみ伝わるようになる。このような導波管の結合器を方向性結合器と呼ぶ。ただし、この結合器は、結合穴の間隔の4倍に等しい波長の電波にのみ有効であることに注意する必要がある。

方向性結合器は、レーダーの受信機の試験をするときに逆の径路で試験発振器の信号を主導波管側に入れたり、送信信号の一部を取り出すのに使用したりする。この場合には、導波管回路の一部を取り外して方向性結合器の付いた導波管と取り替えるので、レーダーを装備する際には、この取替え部分を、あらかじめ設けておいたほうがよい。

レーダーに使用される導波管については、次のような日本工業規格(JIS)がある。まず、JIS C(6601導波管及びフランジの型名)では、例えばWRJ-9…CD1というときは、Wは導波管、Rは方形、JはJIS,9は9,000MHz用、Cは銅(他にR丹銅、

B黄銅など)Dは引き抜きを表す。

 

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図3・13 規格導波管の使用帯域と減衰量

 

なお、JISで定められているフランジはすべてフラットフランジで、図3・10のようなチョークフランジはJISには規定されていない。JISにある引き抜き方形導波管の寸法の規格を示す。また図3・13には導波管の中を電波が伝わるときの減衰量を1m当たりのdB値で示してある。導波管はその中を通す波長に比べ、寸法の大きい方が減衰が少ないので、例えば3cm波レーダーではWRJ-9でもWRJ-10でもよいが、長い伝送路には減衰の少ないWRJ-9を使い、特に寸法的に小さいことが要求される場合にのみWRJ-10が使われる。

 

 

 

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