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Mayson:そうとは思いません。ここで2つの点をとりあげます。1つは、この市場の労働側の規制緩和、もう1つは港の所有ですが、ニュージーランドの場合に、すべて同時平行的に進めなければならなかったのは、変化の環境が整備されたからです。たとえば、労働改革といっても、それと同時に港の民営化が進められなければ、これは可能ではなかったと思います。日本の場合も官民両存ですし、ドイツもそうです。ニュージーランドの一部の人も主張しているように、「公共の独占から民間の独占に移った」われわれがすべてを管理しているということは独占ではないかと言われています。ただ理念としては、自由経済競争ですので、法律上独占体制で運営するということを阻止するものはありません。ただ、商業委員会のほうが反競争的ではないかということをみています。

労働改革は、私の立場からすると、説明されたとおりのものであるとすれば、大きな障害となっており、最大限の営業可能性、柔軟性を担保するためには必要ですが、日本の場合は、われわれの10年ぐらい前の状況ではないかと思います。時間外、週末の場合の労賃が高いということと、一日の労働時間が8時間となっています。ニュージーランドではそのような状況であったということで、他の国に対してどのように事業を営むべきかということを助言したいとは思いませんが、われわれと同じような状況であったということであれば、労働改革も重要であると思います。

港湾の所有形態は私にとって重要です。というのは、それによって私は給料を払ってもらっているからです。ただ、これはあくまでも思想的な問題であり、これが正しい、これが間違っている、といったことではなく、要するに違うということ、フランス人が言う「違いがあることこそ素晴らしい、万歳」ということになります。

 

広田:仮に港のどこかで他の民間企業がこの臨海地域に出てきたとします。そして新しいターミナルを始めるということは可能なのでしょうか。

 

Mayson:可能です。実際、今われわれ自身のコンテナ・ターミナルを立ち上げており、港の一部においては新しい開発ということで600品の埠頭があります。これはポストパナマックス型のクレーンがあります。国際入札にかけています。ターミナルをつくりたいということ、そして新たな事業を持ち込むということであれば申し込むことができます。その時点では関心を示した人がいなからたので、自分たちでやろうということになりました。これは共通のユーザーエリアの隣です。どこの荷役会社でも入るところで、われわれが使うのと同じような条件でクレーンを使うことができます。ですから自由な競争ということになっています。

それから倉庫にしても、バースでも、リースをすることができます。水先人、曳船も全部競争の対象となっており、ここに参入して競合することもできますが、われわれの国は小さいので、他の事業者が入ってきて適切な利益を上げられるとは思いません。そこでわれわれは全体のビジネスに追加的なサービスとしてこれを提供しています。

 

広田:ウォーターフロントのどの部分はどこの会社ということを決めるのはだれなのでしょうか。あるいは市の公園や環境面に関してはどうでしょう。

 

Mayson:われわれは、地方自治体が設定している計画法の下にあり、港の会社として特定のウォーターフロントに関する権利を有しています。現行制度に対する批判の1つとして、他のところが入ってきており、港をつくりたいといった場合にそれができないのではないか、というのは、うちがウォーターフロントを所有しているからということになるわけです。ただ競争排除をすると、商業法が適用されて、われわれは競争が存在するようにしなければならなくなります。

 

 

 

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