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こういう考え方があって、本当にニュージーランドでは他の港湾でも当てはまるのかもしれませんが、確かに、株式出資を通して経営に対して政治的な介入があるという意見があります。そして自由市場システムを支持するならば、つまりニュージーランドがこのような方向に進んでいるということであれば、ニュージーランドはこのような港湾会社(の株式)を所有するべきではない、そして、他の企業に出資すべきであるという考え方があります。これは、今、台頭しつつある議論で、これが適切か否かということがまさに議論されています。

わが国においては、公共か私的な所有のどちらかというのは、まだ議論が続いているのです。そして港湾が民営化されたということは、つまり売買のための株式が証券取引所に上場されているということで、すべての港でそうであるということではありませんが、しかしまだ議論として、やはり公共所有も維持されるべきであるという意見があります。つまり地方自治体が出資を続けるべきであるという人々もいますので、私が今ここに皆さんの前に立ちて、「民営化をニュージーランドをモデルにしてぜひ」と主張するわけではありません。ただ、私どもにとっては民営化はよかった、そしてニュージーランドにとって、また自分の会社にとってよかったということは申し上げるわけです。

英語で、“My Horses for cources”(コースにあった馬)ということで、日本に、あるいはヨーロッパには合っていないかもしれませんが、ニュージーランドにとってはよかったということで、自由市場経済の方式に移行したから存在するわけです。これが継続する保証はありませんが、仮に政府が左翼側に行ったとしても、さらにもう一度公共所有に戻ると思いません。その場合には、左側の政権は地方自治体が株式出資をより大きくすべきであるという主張は出てくるかもしれません。そして直接、料金体系についての支配があるのでしょうか。この港湾改革の前の料金体系はすべて運輸大臣が国家政府レベルで決めていました。いかなる交渉、取引もありませんでした。これは公共の使用料金、入港料ということです。しかしtariffの意思決定は今や私どもが行っており、これは市場の条件に合わせてわれわれが決めています。

私どものタウランガ港における貿易では、地理的に森林が多く、材木業がこの地域に多いということで、顧客は決まっていますが、私どもの港はその背後圏において、非常に競争力があり、オークランド港と競争していますが、われわれの会社では、ニュージーランドの優先的な貨物のゲートウェイであることを希望しています。つまり、顧客が地理的にわれわれの港を使うような優先順位を考えているとしても、好んでそうあってほしいということを望んでいるわけです。

われわれはお客様を最も大事にしているので、すべての当事者が勝利できるように、そしてニュージーランドの法律においてわれわれが責任をもち、国家利益を追求するわけです。競合企業は、顧客の希望を無視し、直接の輸出入業者、あるいは一般の人々の希望を無視してしまうのですが、成功しなければ廃業というとこになりますので、ニュージーランドの1、2の港湾では、民営化の後に非常に危うい状況があります、つまり、継続するための事業展開ができていないので採算性が危ないわけで、ニュージーランドの港湾そのものの合理化も、何年か後にはさらに進められるのではないかと推測しています。

 

広田:1つ質問いたします。民営化は、いろいろな側面が同時進行的に進められたとおっしゃいました。特に臨海地域産業委員会の規制緩和についてお話しされました。これは最も重要な側面ではないかと思います。日本においては、確かに港の所有は公共団体が担っていますが、荷捌き、あるいはそれに関連するような諸活動は民間企業が行っています。ただ、この産業に新規参入することに関しては、特別法により規制されています。また、ライセンスも必要ですし、非常に強い組合もあるわけです。そこで一旦このような規制緩和が進みますと、港湾当局のシステムに変化がなかったとしても、かなりの目的はみたされるのではないかと思いますがどうでしょうか。

 

 

 

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