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われわれのところでは、組合員でない労働力を使っている水先人の会社が2つあります。また、他にパートタイマーでピーク時に対応することも行っています。ですから労働力市場全体が規制緩和の対象となりました。また、自由市場の原則に委ねられています。そう言うと聞こえはいいのですが、結局は振り子の原則の話で、改革前には振り子はずっと左側にありました。それをコントロールをしていたのは組合であったわけです。労働改革以降、振り子は右に振れています。そして使用者のほうにいっているわけです。そのうちまた振り子がもとの状態の左に振れると思います。使用者としてわれわれは、自分たちの労働力を置いているところ、あるいは労使関係が真ん中にあるようにしなければならないわけです。要するに、両方が勝つような状況、つまり使用者も勝ち、労働者も勝ち、お客さんも勝ち、株主も勝つような状況をつくらなければなりません。

 

野田:私は構造エンジニアです。単純な質問ですが、ご承知のとおり、3年前に日本では、阪神淡路大震災という非常に大きな地震が神戸港で体験されました。岸壁や堤防などが完全に壊れました。ニュージーランドでも同様な地震などの災害があると思いますが、もし残念ながらこのように非常に大きな自然災害が皆さんの港で起こったとすると、責任問題として、港湾施設を再建する責任があなたの会社にあるのでしょうか。また、国家政府が責任をとるとか、そのあたりの問題はどのようになっているのでしょうか。

 

Mayson:まず古い構造物は、現在の私どもの港湾においては、神戸のような地震があればすべて破壊されてしまうでしょう。1990年代につくられた新しいものは、ディクタースケールの8までの耐震力はもっていますので、荷役オペレーションは若干可能であるということになると思います。もちろん保険は、このような災害に備えて掛けています。再建するのかという意思決定は、顧客のニエズを考慮して決めます。もし顧客側で他に選択肢がないということで、われわれが再建する責任があるということであれば、保険を使って建設を行います。一方、ターミナルについての契約は委託していますので、入札方式でターミナルの建設を行っています。結果として、われわれは、開発に関するすべてのコストを担当しており、責任を持っています。また商業上の意思決定については、新規開発についての決定はわれわれが行い、それは顧客にとって何が適切であるかということに基づいてなされており、また、投資収益として適切なものが得られるかどうかという観点から決めています。

 

鈴木:OCDIの鈴木です。先ほどのテキストの12ページですが、地方自治体によるコントロールについて、Regional Councilが、コントロールする株式を廃止するべきである、と書いてありますが、地方自治体は何らかの出資をして、port authorityに対するコントロールをもつべきではないかと思います。この文章から考えますと、port authorityに対して、自治体の何らかのコントロールは維持されるのではないかと推察されますが。

 

Mayson:私どもの会社では55%が地方自治体の出資です。ですから明日証券取引所で売買することもできます。ということで、売る、売らないは、地方自治体の判断にかかっています。ただ、政府が、地方自治体に対して売るように強制するかどうかということですが、私にとっては、地方自治体であれ、他の株主であっても、だれであってもいいわけです。ただ、会社のマネジメントに介入しなければいいわけです。私がマネジメントを担当しており、株主の希望に対応するのは私で、さらに役員たちがこれを実施するわけです。それが私の務めです。

 

 

 

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