日本財団 図書館


質疑応答

 

座長:それでは質疑応答に入りたいと思います。近藤さんどうぞ。

 

近藤:IAPH(国際港湾協会)の近藤です。私は3年前にタウランガ港を訪問しましたが、非常に美しい港として印象深く覚えています。ただ、民営化のお話をうかがって、ここで強調されたのが商業活動であったと思います。同時に、環境問題にも責任があり、またタウランガ港としては、市民に対して優れた環境を提供しなければならないという義務を担っています。そういった中で、いかにしてシステムの中に環境維持を取り込んでおられるのでしょうか。海運会社は、ISOの認証を得るために努力をされたわけですが、同時に、これらの努力は、港湾活動を環境と両立するというかたちで統合しなければならなかったわけです。商業主義と環境保全とどのように統合されたか教えてください。

 

Mayson:まず私どもは、港の環境面に関する責任をもっていません。ただ環境法の下に、他の民間企業と同様、環境保全をしなければならないということで、ニュージーランドにおいては非常に厳密な環境法を敷いています。港湾であれ、製造業であれ、どの企業に関しても資源管理法の下に、厳密に何をやっていい、何をやってはいけないということは定められています。他に入ってくる要素として、われわれの裁判所は、タウランガ市のど真ん中にあります。日本との比較では、わずか人口85000人という小さな市ですが、われわれニュージーランドにとっては、全国人口が350万人ですから、かなり大きな規模です。この真ん中にあるわけですから、確かに民間企業ではありますが、よき企業市民でなければなりません。そして地元の支援を得て活動を展開することになるわけです。企業の責任として、やはり環境についても責任をもたなければなりません。また商業面においても責任をもつ必要があると考えています。

Environment BOPというわれわれの主要株主は、法律の下で、われわれが環境面の要件を充たさなければならないとしています。これをみたさないということになると、刑罰に処せられ、私は投獄されることになります。そういったことからも環境面に対する責任も担っています。

 

藤野:港湾協会の藤野です。今Maysonさんから、タウランガ港の民営化についてのお話を非常に興味深く聞かせていただきました。お話の中で、私の聞き違いがなければ、労働の非効率性ということが、民営化ヘの足取りの非常に重要な引き金になっているようにうかがいました。ニュージーランドにおけるその他の港も、ほぼ同じような課題、したがってそれを克服するために同じような方向を歩んでいるのでしょうか。これが第1点目です。2点目は、きょうは港湾のセミナーですから港湾のお話を承ったのだと思いますが、他の交通関係、社会資本の分野においても同様な課題、ないしは民営化へ向かっての変化の道がたどられているのでしょうか、ということです。

 

Mayson:2番目の質問に先にお答えします。受益者負担の原則に関してはハンブルク港のベーレントさんが彼の講演の中でお話しました。ニュージーランドの鉄道は、5年ほど前に民営化され、今は民間企業となっています。それから道路については現在改革中です。すでに道路使用の税金を払わなければいけません。高速道路も有料道路となっていますもただ受益者負担の原則ですが、陸上つまり道路には課せられます。

1番目の労働改革に関わるご質問ですが、一部の港ではまだ労働問題を抱えています。というのは、港における労働改革の結果、労働管理をしなければいけないのは雇用者ということになっています。それからいろいろな変更があり、契約の交渉以外ではストライキを決行してはならないとしています。また、線引きを廃止しました。線引きというのは、私は水先人で私の仕事はこれだ、あなたはトラクターの運転手だからこれをやれ、といった職域の線引きです。これはもはやニュージーランドにはありません。だれでも何でもできるということになっていますし、組合に加入することも強制されていません。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION