Behrendt:非常に興味深いご質問をいただきました。またこれも現実的なご質問です。今までのところ、ヨーロッパの委員会は、港に関する公的なファイナンシングは、国の補助ということで、欧州条約の92条にはみなされないとしています。クリスマス前に、委員会は、いわゆる陸送を発表しました。これは海上インフラに関わる陸送です。これはディスカッションペーパーで、委員会では、問題視されるような状況を表しており、それに対して考えられる解決策を打ち出しています。この陸送において、委員会は将来、受益者負担の原則をすべての輸送形態に適用すべきであるとしています。ですからここで認識しなければいけないのは、これはもはや国の援助の問題ではなく、政治問題となっていること、そして運輸に関わる政策にも関連してくることで、運輸において受益者負担の原則をあらゆる輸送形態の原則にすべきかということになるわけです。確かにそのような立場をとることはできますが、そこでどのような影響があるのかということも認識しなければなりません。いい方法を編み出して、うまく受益者負担の原則が適用されなければなりません。
また陸送のなかで1つ提案が出ています。これはまず理解しにくい内容となっていますが、委員会の方はこちらにいらっしゃっていないと思いますが、あまり批判めいたことは言いたくないと考えています。委員会のメンバーの方とお話しする機会もなかったので、失礼なことを申し上げたらお許しいただきたいと思いますが、なかなか理解が難しいのと、実践に移すことが難しいわけです。つまり、コスト項目はどういったものを入れるべきかということ、これは外的なコスト、それから環境に対するダメージ、あるいは損害に関わるコストです。この陸送を発表した後、委員会のほうでは、海運業界、加盟国に対して、本年4月1日までにコメントを寄せるようにということになっています。かなりのコメントが寄せられるだろうと思われますし、かなりの批判も出てくるのではないかと思われます。というのは、このような受益者負担の原則を導入するという構想のお陰で、かなりの問題が喚起されてきたということと、港湾だけではなく他のものもすべて含めたあらゆる輸送形態に関する討論が繰り広げられるだろうと思われます。果してある程度の妥協が出てくるのか、あるいは委員会は、法的な措置または規制というかたちでの提案として、閣僚理事会の承認を必要とするようなものとなるのか、その結果はまだみえていません。したがって将来は不確実です。ただ、未来に向かっているということだけは確かです。
座長:重要なご討論をありがとうございました。Behrendtさん、ご講演をありがとうございました。