第3点として、港湾開発法の主要な考え方の根本にあるものは港湾開発で、これは港湾インフラの建設や保全も含め、ハンブルク市、ハンブルク州の公共の務めであるとみなされているということです。他の産業領域におけるわれわれの慣行と同様で、この場合のインフラは公共が提供しているわけです。
次に第4として、港湾地域というのは州の所有であり売地ではありません。民間セクター事業に対しては30年までのリースがあります。このリース契約は更新することができます。このことは、土地が限られており、今、この港湾地域はハンブルク州の細い国境地帯を越えて近隣の州に拡大することができないという考えに基づき、港湾の土地は慎重に使用しなければいけない、そしてまた民間土地所有の登記を許してはいけないという考え方です。
第5としては、港湾の土地はほとんど州が所有していますが、そのうち一部何ヘクタールについては、現在のハンブルクのうち昔のプロシャの領域であったところが民間所有となっています。ハンブルク州政府は、この領域での民間所有地域が売りに出される場合には、専買権利をもっています。また、最後に、この開発法では、特別な計画規定が用意されています。
3.3 港湾開発における政治的原理・原則
この法律の他には、州議会は一部政治的な原理、原則を将来の港湾開発のために承認しています。まず、ハンブルク港は普遍的な港であり、あらゆる種類の物資を制約なしで取り扱っています。しかしながらコンテナ輸送がますます重要性を増してきています。1997年に全体の取扱貨物量は7670万トン相当になり、3670万トンがばら荷、また4000万トン弱が雑貨です。コンテナの取扱量は330万TEUを超えています。これはヨーロッパでは第2位、コンテナ港の中では第7位です。
第2点として1970年にハンブルク議会は、港湾に関する新しい経済コンセプトを承認し、2つの要素を新たに導入しました。そのひとつは、船舶及び貨物に対するすべてのターミナルオペレーター間の公正な競争を保証すること。これには、ハンブルク港湾倉庫株式会社も含んでいます。この会社は民営の株式会社で、その株は昔も今もハンブルク州が所有しています。ふたつ目は、港湾投資の財務を分けるということで、インフラの投資、すなわち水路、埋め立て、泊地あるいは不要になったドックの埋め立て、また土地を高くして高潮にも対応できるレベルの堤防にする場合、公道・鉄道の線路の建設などについては、ハンブルク州によって資金面が調達されるということです。一方、上部構造すなわち舗装、上屋、倉庫、鉄道の引込線、供用地域での道路、機械などの民間企業が責任をもっているすべての施設は民間が支払う、という分け方をしています。このような費用負担の分離の原則のもと、各会社の要求事項、資金能力に応じて各会社は自分のターミナルを建設し運営します。最も大きな投資をする者が、最も良い機械とサービスを提供でき、最も強い競争力を得られるということかもしれません。
ところで、岸壁についてはインフラ、上部構造のいずれにも分類しなかったことに注意深い皆様はお気づきだと思います。岸壁についてはターミナル関係のインフラとみなしていますので、ハンブルク州がつくり、資金調達し、維持するわけです。これは、ターミナルオペレータの仕様に基づいてつくられ、オペレータ側はそれに対する賃貸料を支払うかたちになります。岸壁の賃貸料以外に、企業はリースを受けている土地に対してリース料を払います。この価格は付帯設備によって違っており、岸壁の水深、鉄道への接続の有無によって価格が決まります。ターミナルの大部分はハンブルク港の運営する鉄道につながっており、二次輸送として道路の代わりに鉄道を使うことができます。