日本財団 図書館


・にもかかわらず、コンセッション制度(BOT)はおそらく港湾分野での民間部門提携の最も効率的なモード。コンセッション単体で考えてはだめ。コンセションはリースと切り離して議論されるべきではない。

・リース契約では、

資産(土地、設備)の使用権が譲渡され、契約期間中賃借料の支払と見返りに使用権を得る。賃貸者は所有権(ownership)を保持し、占有権及び使用権は借り手へ移転される。

・コンセッションという言葉はよく“リース”の意味で使われるが、実際は“コンセッション”なる言葉は受け手による投資を伴うBOTのスキームで使われるべき。

・リースでは、借り手は投資はしないのであって、借り手は貸手が投資した施設を利用することから便益を得る。特徴は、借り手(lease-holder)がオペレーションのリスクを完全に負うということ。というのは、オペレーションにより利益を生もうが生むまいが賃料は支払われなければならないということ。これが借り手へのインセンチブであり、それゆえリースされた資産の効果的な運用が保証される。

 

・(貸手保護条項)及び(借り手保護条項)(略)

 

・単純なリースでは、借り手は土地及び家屋を借りるのであり、自らが施設、設備を建設することはない。建設許可権付きのリースの場合は、借り手所有の施設・設備を建設するという点で、単純なリースとは異なる。これらの設備が借り手の所有のまま維持されるところが、リースとコンセッションとの本質的な違い。

 

・これらのリースが今や民間企業の参画及び港湾への投資によく利用される方法で、土地あるいは家屋のリースと、設備(主にカーゴハンドリング機器、倉庫)のみならず港湾の公的性格に起因する特別の義務と結びつけれられるもの。それにより民間部門の長期にわたる投資を助長することになる。

 

・P&OオーストラリアのTrevor Bryan氏によると、BOTの定義とは、

一法人が全ての施設(設備、建物及び埠頭含む)を所有する。それ(同法人)が事実上、港湾管理者の役割を果たし、既存の施設(埠頭や建物含む)の修繕・メンテネンスの責任を負い、そしてまた、新規埠頭、埋め立て及びあらゆる浚渫のような新しい港湾開発にも責任を負う。港湾管理者は航路維持及び管制という規制分野と地主(所有者)という役割のみに押しこめられる。この方法では、新しい民間会社が岸壁使用料、埠頭税を含めて入港税を徴収する。港湾管理者への支払は、年間固定料金ベース及び単位あたり収入あるいは貨物トンベースの可変料金よりなる。こうして港湾管理者は生産性、効率の向上による富の増加をシェアできる。そしてBOT期間が終わると、普通25年間を下回らない期間だが、施設の固定資産は政府へ減価した価格(written down value)で手渡される。カーゴハンドリング設備が減価した価格(written down value)で手渡されるべきというのは、リース期間中のカーゴハシドリング設備の供給の維持及び促進のためである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION