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・しかしながら、ベアド(Baird)氏はコンセッションとBOTスキームとの区別を引用しそれらを別のものとして取り扱う。

彼が言う港湾のコンセッションとは、港湾管理者に関わるものでありそれは特定された港湾地域に係る特定期間にわたる権利を、ふつう見返りに同意された料金と引き換えに付与するものである。それは一箇所の埠頭あるいはターミナルに関わるものかもしれないし、レムチャバン港の新港におけるような港全体に関わるものかもしれない。PATがリースした4つのコンテナターミナルのうち最初の3つはカーゴハンドリング設備付きでリースされたが、残りーつは設備はオペレータによって供給されることになっている。代わりにそのコンセッションは25年間契約である。(PATが設備を供給した場合は12年間。)

しかし、BOTスキームでは、民間部門は契約期間、25年間にわたり新港を建設しオペレートする。その間所有権は民間部門が有し契約期間終了後中央政府へ移転される。例えば、マレイシアはポートクラン西港の設備についてのBOTスキームに合意した。そこでは94年以来デベロッパーのコンソーシアムによる建設が行われ30年のリース期間中に30バースを開発予定。しかし、たとえクランポートオーソロティがオペレーショシの民営化後クラン港の貨物取扱いや生産性に直接責任を有しなくなるとはいっても、KPAは依然として荷主や船社にアピールするため積極的な役割を演じている。それゆえ、BOTによる民営化のスキームに関しては、規制分野における港湾管理者の役割には殆ど変化はない。変化があるとすれば力点の置き方が所有者/オペレータから港湾マーケティングに移ったこと。

 

3 ジョイントベンチャー(JV)

・ベアドによればジョイントベンチャー(JV)とは2つ以上の(共同所有による、あるいは独立した)会社による事業立ち上げに関わるものをいう。'親'会社はコストを分担するとともに、利潤と獲得した技術を共有する。例えば一方が技術的専門的知識を得る一方で他方は異なる市場へのアクセス権を得る。というのはプロジェクトが非常に高額なので、多くの組織がリスク分担のため資源をプールするのである。中国における新興諸港での民間部門の参画がターミナルオペレーチングカンパニーと国家組織とのJV形態をとることが一般的となっている。中国における一般ルールとして、海外法人は最小の保有しかできないことになっている。が、ハチソンワンポアLtdが設立したSCTは上海港コンテナ総合開発会社との50/50のJVである。

・JVにおいては港湾管理者あるいは他の国家組織と協調するのは民間企業に制限されない。The Port of Singapore Authority(PSA)が大連港務局との合弁事業に参入したのがそれである。同事業は大窯湾CTの開発・管理・運営をするもの。この例ではJVのパートナーの両方が国家所有の組織である。

・新港のインフラを建設することを意図したJVはアジア以外では一般的ではないように見える。が、地中海のマルタでJV方式が見られる。

 

 

 

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