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5) いずれの国も土地は広いのだが、縦貫高速道路網の発達は十分ではなく、港との連絡道路も発達しておらずこれからの大きな課題である。背後圏との内陸輸送は相当量あると思われるが使われている貨物車両等は旧式である。

 

なお、各港の概要については添付図表を参照。

 

3 調査対象港の管理・運営

 

1) 港湾管理者の性格

調査対象港の多くは国の地方出先機関と港湾管理者は必ずといっていいほど双子のようにセットで組織化されていた。前者をPort Authorityといい、後者をPort Authority Companyといったりしているが、形態としては別組織である。機能分担としては、「株式会社」の方が当該港湾の開発計画の作成、港湾施設の建設・維持及び主要港湾サービスの提供まで殆どを行い、他方、「管理者」は承認等の形態で関与するという関係である。但し、ここでいう「株式会社」は純然たる民間セクターではなく、国あるいは国営企業から移行したものである。

例えば、ポーランドのグダンスク港の場合、国有企業の民営化の一環として「グダンスク港管理株式会社」(Port of Gdansk Authority Co.)が設立された。同会社は政府所有の独立法人で取締役会のメンバーは運輸大臣の任命によって選任される。荷役部門は他の民間事業者が行い、同株式会社はインフラ施設をそれらの会社にリースする港湾インフラ地主として機能する。

ロシアでは、国有43海運商業港の民営化を実施し今もそのプロセスは継続している。他の東欧諸国同様持湾インフラは国家に属しており、港湾管理株式会社にリースされる一方で、政府機関がそれを管理・監督する。セントピーターズバーク港の場合は国有企業から株式会社形態に移行した「セントピーターズバーク港管理株式会社」(持ち株比率:国家49%、従業員51%)が荷役及び同港湾の管理と経営を担っている。但し、ここでの民営化は真の市場経済が十分に機能しているとは言い難いものである。即ち、株式会社形態に変わっても、競争状態がなく、社員も国の役人マインドをそのまま保持し、あるいは株主等による経営の監視が十分ではないということである。

 

 

 

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