第7節 東欧諸国の港湾管理運営
1 調査対象港湾
・オデッサ港(ウクライナ)
・イリチェフスク港(ウクライナ)
・グダンスク港(ポーランド)
・セントピーターズバーク港(ロシア)
上記3ヵ国4港湾の共通点は以下のとおりである。
1) これら3国は、いずれも旧ソ連か、旧ソ連の上部であったか、旧ソ連の体制下にあった国々で、1980年代末もしくは1990年代前半から、従来の社会主義経済体制下から一挙に資本主義経済への切り替えを迫られ目下市場化の荒波の中にいる。過去50年間にわたり市場原理に基づく競争が存在しなかったところに市場原理をもちこもうとしているわけで、必然的にこれら地域での民営化も他の国々とは異なったものとなる。そこでの民営化とは必ずしも民間セクターの参加を意味していない。
2) これら3ヵ国はいずれも教育レベルは高く、人材、技術力のポテンシャルは高いのに、その一方で資金調達が困難で設備の更新、新規導入が遅れている。
2 調査対象港の概況
上記3ヵ国4港湾の共通点は以下のとおりである。
1) いずれも内海にあり世界の主要航路網からははずれたところに位置している。タンカー等は別として至近のハブ港とのフィーダー航路、近隣との地方航路が主流のサービス体系になっている。
2) しかしながら、いずれもこれら港湾の諸施設はみな老朽化しているか、そうでなくても旧式のものが多い。今回調査した4港湾とも良いクレーンが欲しいという要請があった。
3) 4港湾ともコンテナターミナルはあるがガントリクレーンは少なく荷役は旧来の方法で行われているとコンテナ化に対応した近代的荷役はこれからといった感じである。
4) 4港湾とも港区単位の長期計画をもってはいるものの、資金の関係で少しづつ段階的にやっていくほかはないという話しであった。