中断されることも少なくなかった。また、建設主体となる船社や他民間企業にとっては、独自の裁量で必要なインフラをある程度自由に建設できるというメリットがある。新規CTの建設に必要な経費は、ファンドから捻出されるが、高雄港の税関がカーゴに貸す税金(荷の価値に対する一律5%)も港務局を経由して積み立てられる。
CTの運営システムとしては、現在数バース残されている公共埠頭は次第にその存在価値を失い、リース型バースと、BOT型バースの2種類に集約されていくことになると思われる。
民営化後のポートチャージの決定権については、入港料、岸壁使用料についてこれまでどおり国が、また、荷役料は民間の裁量に任される。荷役料は、これまでは政府決定による統一料金であったが、BOTシステム導入後は、それを上限とすることを条件に基本的にオペレーターが自由決定権を持つことになる。
2-4 港湾荷役の民営化
現在台湾が推進する港湾の民営化の中で、最も大きなポイントとなるのは、港湾荷役システムの民営化である。現在及び今後導入予定の荷役システムは次のとおりである。
ア 現在の荷役システム
港運会社は必要に応じ、港務局を通じて荷役作業員で構成するユニオン(China Container Terminal Corporation:各港毎に組織)から作業員の派遣を受ける。ユニオンと港運会社の間に管理・被管理関係はなく、すべて契約ベースである。荷役の提供に対し、港運会社は料金の70%をユニオンに、残り30%を仲介者である港務局に支払う。
このシステムでは、両者の関係は契約による対等関係であるため、作業員の労働モラルの低下や船社サイドから必要作業人数のリクエストが出来ないなど荷役の効率性、システムの柔軟性を欠き、また、港務局が料金の一部を吸上げることがフレイトに反映され、他港湾との競争力を落とす結果となっている。
イ 新規導入システム
98年1月以降、「港埠作業民営化實施法」により、港運会社と新ユニオンとの関係は雇用・被雇用関係となり、これまでのように港務局がこれを仲介することはない。この事で、荷役効率の向上と、コンテナフレイトのディスカウントが実現されることが大きなメリットとなる。この様に、98年1月から台湾における港湾の荷役システムは、荷役作業員の「派遣制」から「直接雇用制」に転換されることになると言う事が出来る。