2-2 港湾運営と組織改革
現在台湾では、国家レベルの行政改革が推進されているが、港湾部門についてもその組織構造上の非効率性を排除するため、ターミナル運営や港湾荷役業務への民営化の導入を進めている。具体的には、行政機構から「省政府」を削除し、国の一組織として直轄の「交通省(仮名)」を設け、その一部門として「港湾局」を新設し、さらにその支局として各港務局を設置する計画である。
台湾における港湾の民営化の背景としては、1]急速な産業構造の変化の中、取扱い貨物の質的変化、即ち高品質で付加価値の高いものへの転換に伴い、より効率的なハンドリングシステムが求められていること、また、2]全体のパイとしてのカーゴ量が伸び悩む中で、アジア地域を中心とする世界各国からのカーゴの集貨力を高めるべく、トランシップメントに力を入れて行く必要があることが上げられる。
即ち、台湾では、港湾の効率化による「ハブ・ポート構想」の実現を念頭に、激化する香港やシンガポール等近隣港との競争に打勝っていく為の最も有効な手段の一つとして民営化の導入が進められている。今後の港湾の管理・運営においては、「管理」は将来の交通省港湾局(現在の交通部)が所管するが、「運営」については、すべての機能を出来るだけ民営化していく方針である。
2-3 ターミナル運営の民営化
高雄港においては、全体の8割以上を占める専用埠頭は基本的に高雄港務局が管理し、それを船会社に直接貸し付けている。また、残り2割足らずの公共埠頭は運営に関しても同港務局が所管している。
コンテナターミナル(以下CT)No.1-4の専用埠頭は、リースを受ける船会社が自社貨物のみを取扱うことを条件に、港務局と船会社とのリース契約に基づいて運営されており、リース料も契約により決定されるもまた、契約期間についても、10年を超えないという前提があるものの、基本的には個々の契約による。
新規建設のCT(No.5以降)については、基本的にBOTベースで進める計画である。CTNo.1-4の建設、運営のシステムがフレキシビリティを欠いた反省から、新CTでは、借受け者の公募に際して、1]港務局の整備範囲を埋立てと防波堤の建設のみとし、他インフラの整備は基本的に契約後に借受け者が行う、2]埠頭のデザインは建設者の裁量であるが、最終的には各港務局が交通省港湾局(現在の交通部)の策定する基本計画のに基づき認可する、3]船社以外の借受け応募を認める、4]仮受け者の決定に当たっては入札方式を採用する等の変更点を設けた。
BOTシステムの導入のねらいは他港のケース同様、民資の導入による政府の財政負担軽減と民間運営による効率性の向上に他ならない。実際に、これまでのシステムによる港湾建設では、予算要求からそれが措置されるまでに多くの時間を要し、