(4) サントス港における民営化の問題点、留意点
・労働組合は連邦政府の努力で弱くなっており、ストは生じなかったが、職を失った労働者が事件を起こしている。また200件以上の労働訴訟が生じている。
・リースする際には、民間企業が来易いように、道路、鉄道を事前に改良しておく必要がある。
(5) CODESPについての評価
CODESPは、公社といっても99%は連邦政府が所有する国策会社であり、CODESPが港湾の管理・運営を全て実施していたと言っても過言ではない。
実際、CODESPは、機械工場、作業船まで所有し、港湾への引込み電気も整備、管理しているほか、荷役作業員まで抱えている。
そして、CODESPの総裁は連邦政府任命であり、伝統的にPMDP(現在の大統領はPSDP)という政党の人間が選ばれるなど、極めて政治色の強い会社である。
このため、同種の管理・運営を行っている港湾で生じている問題(作業の非効率、雇用者の増大、作業時間管理の不透明化、コスト増大、荷役時間の制限、政治の介入など)が同様に生じた。
この結果、港湾料金の高騰、荷役サービスの低下など、港湾の競争力は失われ、ブラジル国家経済に多くの損失が生じた。
従ってCODESPから荷役部門を民間企業に引き渡す民営化計画は必要と判断されるが、CODESP自体には港湾計画の立案能力が失われており、このままではUnsolicited BOTで虫喰い状態の開発となるものと予想される。
2-5 港湾民営化の評価
ブラジル国における港湾制度の改革は緒に付いたばかりであり、未だ過渡期にある。改革の主目的は、
1] 港湾労働者に支配され、高料金、低品質となっていた港湾サービスを改善すること
2] 国策の埠頭公社が政治的・官僚的になり過ぎて、非効率となっており、その構造を改善すること
このため、国の関与を少なくし、地方分権を進めるとともに、港湾サービスの権限を労働組合から取り上げて第三者機関に移すとともに、民間会社を積極的に導入し、港湾活動を活性化させようとするものである。