(6) スペイン国/バルセロナ港
全国港湾公団(Puertos del Estado)
全国港湾公団は、港湾基金(Contribution Fund)を運営しており、また、各港湾管理者に対する徴収権とその配分権を持っており、必要に応じて全国でプールした基金から各港湾管理者に対して再配分を行う。
港湾管理者(Autoritat Portuaria)
航路(Sea approaches)の初期投資及び維持費用については、港湾管理者が港湾管理者の収入を源資として負担する。下部構造については、公共利用のドック(Dock)、ピア(Pier)、係留施設(Moorings)は港湾管理者が100%費用負担し、建設することになっている。また、港湾内における港湾活動に関係するすべてのタイプの施設の建設は、長期貸付や権利委譲(Concession)によって行われる。これらの貸付け期間は最大で30年とされている。
サイロ(Silo)、タンク(Tank)、特殊倉庫(Special warehouses)、特殊クレーン(Special warehouses)、荷役施設(Loading and unloading equipment)などの上部構造については、民間部門が通常費用負担し、建設する。一方、土地の用意(Land preparation)、舗装(Pavement)、照明(Lighting)、電気・水道供給ネットワーク、港湾管理者のオフィスビルなどの上部構造については、一般的に港湾管理者が供給する。これらの上部構造のうち、上屋(Sheds)、倉庫(Warehouses)、公共利用のクレーンや特殊な施設については、港湾管理者がその建設費用を負担する。
4 港湾財政における資金の流れの仕組み
(1) ドイツ国/ブレーメン港
国からの財政支援
ドイツにおいては、港湾管理者の行政的分野は州・市政府と一体不可分なので、ヨーロッパのなかでは例外的に独立した会計を設けていない。また、国(連邦政府)から港湾管理者に対する財政支援は基本的に何もなく、また、州政府から港湾管理者の施設整備に対する補助金制度もない。
しかしながら、港湾管理者の財政は慢性的に赤字になる構造なので、特に新規の投資が必要な場合など港湾管理者の収支全体を均衡させるような州政府から支出(州政府の法人税、所得税、消費税などの収入からの支出)を州議会の予算編成過程の審議を経たうえで行っている。