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3 カナダ海事法(新法)による改革

 

カナダでは、ここ数年、港湾の非効率、過剰施設対策として、主要港の独立性を高め地方港の地方移管を進めることが検討されてきた。1996年当初、カナダ国会の運輸委員会に提出された「カナダ海事法」のドラフトによれば、政府は、国の貿易に重要な関係のある港と遠隔地の交通輸送手段として重要な港についてのみ責任を持つこととし、他の港は地方に移管するとしている。

 

カナダ港湾公社(CPC)は政府の機関であり、その管理下の港湾は、連邦の財政管理法(Financial Administration Act ; FAA)の適用を受けるため、予算、投資、施設利用契約、タリフの設定等について中央政府の承認を得る必要があった。また、連邦運輸省の管理する524港についてもFAAは適用され、かつ、これらの港湾については、連邦土地法(Federal Real Property Act)が適用されるので、土地の買収等に当たってはすべて連邦の承認事項となっていた。港湾委員会(Harbour Commission)については、FAAが適用されず、また、土地を所有する事も認められていた。

 

このような管理では、商業的な港湾運営は困難であり、港湾が非効率かつ施設過剰に陥ってしまったため、自己責任で独立した運営が出来る組織に変える必要が生じていた。地方港についても、国の承認がないと土地の借用もできないため、地元のニーズにあった運営が出来ない状況であった。このため、従来の、カナダ港湾公社法、公共港湾施設法、港湾委員会法、ハミルトン港湾委員会法、トロント港湾委員会法をすべて廃止し、カナダ海事法に統一しようとするものである。

 

1] カナダポートオーソリティ

国の貿易に重要な港湾で一定の要件を満たすものについては、カナダポートオーソリティを設立する。ポートオーソリティは、運輸大臣から、港の水域、陸域等の免許を受けて(その免許の範囲内で、海運、航行、荷役、倉庫等の業務に関する権限をもつ。非営利企業で株式は発行しないが、カナダ会社法(Canada Business Corporation Act)の適用を受ける。ポートオーソリティの所得は非課税となる。連邦の土地を利用することが出来るが、その利用料は支払う必要がある。港湾料金は、コストをカバーし適切な利潤を生ずる程度のものとし、利用者を差別的に取り扱うことは禁止される。港湾管理者の活動範囲は、港湾関連の業務に限定されていることに対しては、現在の港湾管理者からこれを拡大するよう要請があがっている。

 

カナダポートオーソリティとなる港湾は、現在CPCが管理する主要港7港、及び港湾委員会が管理するFraser River港の8港となる予定である。

 

 

 

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