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マサチューセッツ港では、1992年、ポートオーソリティ、ターンパイクオーソリティ、及び赤字のマサチューセッツベイ交通公社を合併して、マサチューセッツ複合一環輸送公社を設立する構想が出されたが、港湾の経営が成り立たなくなるとの反対で実現しなかった。

 

民営化

公共の所有する港湾施設を、民間の所有に移すという意味での民営化であれば、米国の場合1900年代初頭に戻ることとなるが、この狭義の意味での民営化は進んでいない。マスポー卜(マサチューセッツ州)やロサンジェルス港で施設の民間売却を含む民営化が検討されたが、当初、連邦の「連邦政府の資金の投入された施設の民間への売却は、連邦の損失につながる」との方針から、中止された。その後、連邦の方針が変わり、「連邦の資金の投入されたインフラ施設であっても、民営化のためであれば、その売却に伴う連邦の請求権を放棄する。」との方針が示された(ブッシュ政権)。

 

しかし、米国の港湾では、狭義の意味での民営化は進んでおらず、運営を民間企業に委託する、民間の経営手法を導入する、施設をリースするというような広義の意味での民営化は、いろいろな形で進行している。

 

4 港湾の開発・維持管理に関する連邦の関与

 

4-1 防波堤

 

連邦政府の所管であり、連邦政府が自らの費用で維持管理している。しかし、米国では防波堤を必要とする港湾がほとんどなく、西海岸の主要港では、ロサンジェルス港、ロングビーチ港のみ防波堤が設置されている。ニューヨーク・ニュージャージー港、ハンプトンローズ港、マイアミ港では導流堤程度は設置されているが防波堤はなく、東海岸全域でも防波堤の設置港はほとんどない。

 

LA/LB港の防波堤は、1899年に開発が開始され、以降数次にわたって延長工事が行われた。1920年代後半から1930年年代にかけてロングビーチ港前面もカバーするように延伸され、全長14km以上となっている。防波堤は、貿易、漁業の振興、船舶航行の安全をはかるために連邦政府が建設したものであり、港湾内には海軍基地も設置されている。その後、大きな改修はされていない。この防波堤が、ロサンジェルス地震により沈下したときは、陸軍工兵隊が連邦費で復旧した。しかし、最近は、港湾開発のための防波堤が新たに設置される例がなく、今後防波堤の新設について、連邦政府が100%連邦費で整備することとなるか否かは不明である。

 

 

 

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