E. ニューヨーク・ニュージャージー港 1921
ハドソン川河口部では、当初、鉄道会社がそれぞれのターミナルを持ち貨物の搬出入をしていた。両州がそれぞれの州での取扱いを増加させるべく、ターミナル間の競争を激化させたり、鉄道運賃の規制に対する論争に発展したりしたため、両州にまたがるポートオーソリティを設立する提案がなされ、1921年、両州によりニューヨーク・ニュージャージーポートオーソリティが設立された。その目的は「総合的な交通計画を策定することにより、鉄道事業者間の非生産的競争を無くし、背後都市の経済的便益を高めるため」とされている。
3-3 最近の傾向
港湾の合併
海運業界の世界的規模での連合再編は、寄港地の再選択、利用するターミナルの再編につながり、港湾間のあるいはターミナル間の競争を激化させるものと認識されている。シアトル港とタコマ港、ヒューストン港とガルベストン港など近接する港湾の間では、船社の誘致に関する競争が激化しており、かつてのニューヨーク・ニュージャージー港の合併、1970年の3港合併によるハンプトンローズ港設立(バージニア州ポートオーソリティ)のような港湾の合併、あるいは、吸収などが検討されている。ヒューストン港とガルベストン港の合併は1991年から1992年にかけて協議されたが、まとまっていない。
行政の一部局化
一般的な例ではないが、港湾経営の失敗から、ポートオーソリティを行政の一部局に戻そうとする動きが1990年代に入ってから2件あり、一件は中止、一件は実現した。オークランド港では、ウォーターフロントプロジェクトの失敗から400万ドルの損失を出したことなど経営の失敗が指摘され、オークランド市長から、ポートオーソリティを市の通常の部局とする提案がなされたが、港湾関係者、船会社等から、サービスの質の低下を招くおそれが高いとして反対され、部局化は実現しなかった。
エバーグレイデス港は、1927年に設立され港湾行政区を持つポートオーソリティであったが、1992年フロリダ州ブロワード郡の住民投票により、郡の直接管理に移されることとなり、1994年、郡の一部局に戻った。これは、ポートオーソリティの財政放漫と浪費が指摘され、ポートオーソリティの自治権を縮小することが選ばれたものである。7人の港湾コミッショナーも廃止され、郡の全体を管轄するコミッショナーの指揮下に入った。