国内外の近隣港湾間での競争が生じることによって港湾利用者に対する高いサービス水準が期待できるという特性がある。
一方で、成長し続けるコンテナ需要に対応するため、他港に先駆けていち早くコンテナターミナルを整備し、その需要を吸収することで市場シェアの獲得を図ろうとする傾向がみられる。高雄、釜山等では、近年、BOT手法によるコンテナターミナル整備に着手しているが、これは民間資本を活用することにより開発期間の短縮が可能となるからでもある。このように需要を集めて市場シェアを獲得することでいわゆるハブポート化を目指す港湾においては、民営化が香港、シンガポール等の近隣諸港との競争に打ち勝っための有効な手段の一つとして捉えられている。高雄港では新規建設のコンテナターミナルNo.5以降は基本的にBOTベースで進める計画であるという。政府の財政負担軽減、ターミナル建設の手続きの硬直性、運営システムの効率性向上等が背景にある。最近の釜山港のコンテナターミナルの民営化状況ををみても、1991年のシンサンデターミナルでは埠頭運営への資本参加(75%が民間セクター)、1998年供用のKang Mangターミナルでは4船社へのリース、そして2011年供用予定のGadokターミナルでは埠頭建設、運営に係るコンセッション(50年間)付与によるBTO(Build Transfer Operate)が採用される予定である。更に98年からの供用が予定されている光陽港(釜山港より16km西に位置)でもBTOによる運営が予定されている。
4 BOTによる港湾整備の多様な形態
今回の調査で特徴的であったことの一つは、民営化の進展に関してとりわけ開発途上国において、BOT(Build Operate Transfer) 手法による港湾整備が随所にみられたことである。BOTといっても契約内容により様々な形態があり得るが、ここでは以下の典型的な3タイプを取り上げて「定期借地権付与地主型管理者」に属するものとして整理した。
第一は、港湾を部分的(例えば、コンテナターミナルについて)にBOTにより開発運営するタイプで「設備/賄い付き家主型管理者」港湾から移行する例が多い。東南アジア地域によくみられるが、ロケーションの良さ、有力な背後圏の存在等の諸立地条件とも相俟って今後貨物取扱いの増加が見込まれる港湾(コロンボ、タンジュンプリオク等)、や非効率な港湾サービスを改善し競争力を確保するためにBOTが導入された港湾(主に中南米諸国の港湾;マンサニージョ(メキシコ)、ブエノスアイレス等)等の例がある。
第二は、香港の例である。開発権利金を香港政庁に支払った開発者(民間セクター)は用地の埋立て・造成から施設建設、機器調達までを行うが、当該埋立て造成地はいったん政庁に帰属させられる。開発者は改めてそれらを政庁から借り受けてターミナル運営を行うという形(いわゆる“BTO”(Build Transfer Operate))をとるものである。競争環境についてはどちらかといえば競争抑制的な管理・運営が行われている。開発者の選択は入札によるとはいえ、8つのコンテナターミナルは結果的には特