57) 構造初期計画段階における二重殻構造強度評価と遺伝的アルゴリズムによる最適重量設計(英文)
加藤瞭(名村造船)、李旗(華中理工大)、古野弘志(名村造船)、松尾晃(SEA創研)
バルクキャリア等の二重底構造は剪断変形の影響を受ける。このような二重殼構造の強度を隣接構造の影響を含めて迅速に評価するために、エネルギ法に基づく計算法を導き、さらに隣接構造との変位角の連続性を保証する方法としてラグランジェの未定乗数法を適用した。本計算法と有限要素法による数値解を比較した結果、比較的良い対応を示し、構造初期計画段階での強度評価に十分の実用性を有することを確認した。本計算法を遺伝的アルゴリズムを用いた最適設計に適用し、二重底重量の最適化を試みた。

計算精度の比較例
58) ニューラルネットワークを利用した船型初期計画(第2報)
―中高速船の横切面積曲線計画ツールの構築―
松村竹実(三井造船)、浦環(東大生研)
初期計画用のツールとして、著者等は既にニューラルネットワークを応用した回帰型推定システムを幾つか構築している。前報ではバルブレス中高速船を対象に造波抵抗推定を行い良好な結果を得た。本報では、その横切面積曲線の最適化を取り上げる。提案するシステムはフォワードモデル群の他に調整ネットを有し、与えられた排水容積に関する等号制約条件をみたし、かつ既に学習したデータの範囲を極端に逸脱することなく、造波抵抗係数が最小になる横切面積曲線形状を出力する。

Constitution of Neural Networks in Proposed System
59) 船体形状の記述と性能評価に関する研究(第2報)
―船体形状と推進性能の関係の把握―
荒井加容子(阪府大)、岩崎泰典(川崎重工)、山田智貴(阪府大)、細田龍介(阪府大)
肥大船、瘠型船合計123隻の模型船について、フーリエ記述子を用いて船体の肋骨線形状を表現し、水槽試験による自航要素1-wの解析結果と船体形状の関係を明らかにした。この結果から、熟練した設計者が経験と勘に基づいて決定する船型は、形状的には一定の関係に従っていることが明らかとなった。

フーリエ記述子{a3}と1-wの関係
60) 船舶災害時における避難解析手法について
(第1報、避難者モデルの構築方法及びシミュレーションについて)
戴暁旬(船舶技研)、金湖富士夫(船舶技研)
本研究では、避難シミュレーションを実施するため、空間モデルおよび避難者モデルを開発した。空間モデルとして、座標モデルを採用し、フレーム形式により階層的な船舶空間モデルを開発した。さらに現状認識モデルおよび避難実行モデルからなる避難者モデルを開発した。現状認識モデルは、船舶の空間構造、災害状況、混雑状況を認識する役割を担っている。避難実行モデルは現状を認識した上で、避難経路の選択および避難行動を時々刻々実施する役割を担っている。さらに開発したモデルを用い、避難シミュレーションを実施した。

避難者モデルの構成
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